漁師になって1年!

2022.04.11

       

漁に出ている時の舟の上でのタイムスケジュール

【日帰り操業(春シーズン)のリズム】←ホタルイカ・ハタハタ漁

4:00 起床、即、浜揚げ(実は船の中で寝泊まり!)

5:00 出港

6:00 漁場に到着、網を打ち、1時間程度網を引く。その間に朝食。

7:00 網を揚げる。揚がって来た獲物を選別し、大きさごとに箱詰めする。

その間に次の網を打つ。

選別が終わり、次の網を上げるまでの時間が休憩時間。

このサイクルをおよそ5〜6回繰り返し、帰港する。

18:00~19:00頃 帰港

翌日の準備、夕食(夕食も船内で!)

21:00 頃 後片付け、就寝

 

【夜曳き(秋・冬シーズン)のリズム】←エビ漁・松葉ガニ漁

① 漁の終わり、もしくは出航の前日に、船頭より出航時刻の連絡をもらう

② 出航。

③ 2~10時間で漁場に到着。

④ 網を打ち、1~2時間程度網を引く。

⑤ 網を揚げる。揚がって来た獲物を選別する。その間に次の網を打つ。

⑥ 選別が終わり、次の網を揚げるまでの時間が休憩時間。食事、仮眠などもこの休憩時間に行う。

⑦ 魚艙(漁獲物をしまっておくところ)がいっぱいになるまで、このサイクル(だいたい1時間仕事、50分休憩)を延々と繰り返す。

⑧ 帰港、浜揚げ。次の漁の準備等。

最も長い時で、丸7日、海の上にいました。その分、帰って来てから少し長めに休みがもらえたりしました。

am4:30。船から見る朝焼けの、高ぶる景色。

冬の海(松葉ガニ漁)を経験して

人生初の、松葉ガニ漁。11月~3月までの、松葉ガニ漁を終えての感想は、、、

一言でいうと、「あっという間」です。

なぜそう思ったか。

 

冬の日本海は荒れます。大荒れです。

そんな中で、出航の時には、毎回船酔いしながらも延々と漁を繰り返していきます。

「あ~、今日もまたシケだな」「明日は1日シケ、頑張らんなんな。」みたいな会話を先輩たちと話したりしながら、休む間もないくらいに仕事をします。当たり前ですが、一たび出航してしまったら、どこにも逃げ場はありません。

 

その分、成果(報酬)は、他のシーズンの何倍ももらうことができました。初めて松葉ガニ漁の給料をもらった時には、びっくりして腰が抜けかけました。

 

「初めてのカニの給料は現金でください。」先輩のススメで、船長にそうやってお願いしていたのもよかったです。その現金を見たことで、過酷な松葉ガニ漁に出ていくモチベーションにもなりました。

 

シケ(船酔い)がつらい。寝る間がない。でもお金はたくさんもらえるから頑張れる。

我武者羅に働いていたら、気が付けば、あっという間に冬シーズンが終わっていました。

松葉ガニ漁解禁の日、見送りに来てくれた友人たち

 

漁を続けていると、毎回気持ちが揺れる瞬間があります。

それは、出航してすぐ、船の上から陸を見る時です。

やっぱり、陸から離れる瞬間はシンプルに寂しいです。

いつ帰れるかわからない不安と、船酔いするとわかっていて漁に出る不安。

それがダブルで襲ってきます。

 

それでも1シーズン、何とかやってこれたのは、気にかけてくださる船頭や先輩たちの気持ちに応えたいという思いがあったからだと思います。ただ「お金が欲しい」だけだったら、続けられなかったと思います。

「雪の大地よさらば」

舟の上で作る「まかない料理」について

炊事係は、漁の準備として1週間+1日分の食材(肉や野菜など)を積んで行きますが、基本的にはとれた獲物をその場で調理して食べます。

ハタハタをとっているときはずーっとハタハタ料理を作るし、エビをとっているときはずーっとエビ料理を作ります。

それにプラスαで、積んでいった食材で品数を増やすイメージです。

新鮮どころか、「産地直食」(笑)の獲物は最強に美味い!です。

しかし、毎日同じようなものを食べるので、昨年のハタハタのシーズン終盤になるとさすがにみんなが飽きていました。(笑)

ここが僕の仕事場の一つ。船の炊事場。

こんな人は漁師に向いている。

やっぱり海や魚、船が好きな人が向いてると思います。

それから、自分が気を付けているのが、先輩の言うことを素直に「ハイ」と聞ける人だと思います。先輩には、時に大声で怒鳴られますが、その根底には、「お前がケガをしないように」というのがあります。そこを素直に「ありがとうございます。」と聞き入れることが大事だと思います。

 

夏は、フリーター

漁期が終わる6月から、次の漁期が始まる9月までは、フリーターです。そこで、前職の時から繋がりのあった、小代の「景楽園」さんでバイトをさせてもらっています。夏は庭師の見習いです。一言で庭師といっても、景楽園さんは、造園から伐採まで、景観に関する様々な分野で活躍されており、僕も様々な作業を一緒にさせていただきました。ウインチやクレーンワーク、ロープワークなど、漁師の作業現場と親和性が高い作業も多く、庭仕事がそのまま漁師の身のこなしにも活きてくる実感があります。

 

何より、やっぱり、庭木や山の緑に身を置き、触れていると気持ちいい!時に美的感覚も要求されますが、(これが時々大変ですが…汗)、海の仕事と違って、庭の仕事はおだやか。僕にとってはセラピーです。暑い中ですが、毎日楽しく作業させてもらいました。

また、村岡区・小代区での剪定作業の日には、依頼主さんに顔を覚えていただいたりしたこともあり、間接的だけども、前職の時にお世話になった村岡・小代に恩返しできているな~と実感することもしばしば。

 

漁師と庭師。海と山。「半農半漁」「半農半X」という言葉もありますが、自分の中では、海と山の一番ダイナミックな暮らしを、香美町だからこそ展開でき始めた!!と、楽しくなってきたところです。

 

休みの日には海の幸を山の友人にお届け!

漁が休みの日には「分け用」と言って、出荷する際のハンパ分などを分けてもらえたりします。それを山側(小代や村岡など)の知人に持っていきました。香住の海でその日に揚がった海産物を生産者自らお届け(笑)できたことで、なんだか胸がいっぱいになりました。

赤エビとドギとマガレイ
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