県内唯一の海洋科学科をもち、香住という地域の中にある高校として

兵庫県立香住高等学校
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海の見える絶好のロケーションを誇る香住高校。普通科と海洋科学科、2つの学科を設置しています。普通科は香美町在住の子どもたちの主な進学先の一つであり、海洋科学科は県下全域から出願可能です。海洋科学科に入学したことをきっかけに香美町に移住する家族もあり、町の内外から人が集まる教育機関ともいえます。近畿全域でも水産の学びができる学校は2校しかありません。その一つである海洋科学科のある香住高校、その独自の取り組みと生徒さんたちの様子を伺いました。

香住高校海洋科学科で得られる独自の学び

 

現在海洋科学科に所属する生徒さんは、8割が但馬地域外からの入学。県内唯一の香住高校の海洋科学科には、漁業・操船・船舶の仕組みについて学ぶ「オーシャンコース」、食品の調理や加工などについて学ぶ「シーフードコース」、生物や環境に関する知識や技術の修得を目指す「アクアコース」の3つのコースがあります。香住高校でしか学べない独自のカリキュラムに惹かれ、近年入試の倍率が2倍を超えるなど、人気の高い進学先です。

自宅から通学できない生徒のために、香住高校では「若潮寮」という寮を構えています。平成30年度には高校敷地内に寮を新設。それまで男子のみ入寮可能だった若潮寮も、最新の設備とセキュリティシステムを兼ね備え、女子学生の受け入れが可能になりました。

寮生活で生徒たちが学ぶのは集団生活で培われる協調性と、規則を守って過ごす忍耐力。これらの力は、オーシャンコースで51日間にわたり行われる航海実習での基礎にもなります。

実習船「但州丸」航海実習、見送りの様子

 

海洋科学科で教鞭をとられる篠原健悟先生にお話を伺いました。主にシーフードコースのご担当ですが、オーシャンコースの海洋実習に同行されるなど、海洋科学科全体と関わりがあります。

海洋科学科 篠原健悟先生

 

「香住高校、特に海洋科学科は他の学校と比べても先生と生徒の関係が密になります。特に寮生で親元を初めて離れる子どもたちにはホームシックなど、ケアが必要になることもあります。1年生の4月5月は、できるだけじっくりと話を聞くことを心がけています」

篠原先生だけでなく、香住高校にお勤めの全職員で若潮寮にて交代で舎監を務めます。生活のルールを伝えたり心のケアに努めたりと先生方に求められる対応は幅広いものになります。

その分2年生、3年生には生徒さんたちも大きく成長し、各種・長期の実習を通して「自らの頭で考え、自ら行動する子が増える」と先生方も成長を実感する場面が多くあるのだとか。その他アクアコースは水族館に実習に行ったり、シーフードコースでは地元の旅館の板前さんからの特別授業があるなど、特色ある授業が多彩に展開されています。

シーフードコース 実習の様子

 

地元の子供達にとっても独自の学びがある環境

香住高校 渡邉保幸校長先生

一方、香美町で生まれ育った子どもたちが多く進学してくる普通科も、進学希望や就職希望などそれぞれに将来設計があり、それに応じて合致するカリキュラムの提示を行っています。普通科は多くの生徒さんにとって、小中学校からの友人たちと引き続き学べる安心した環境でもありますが、香住高校ならではの学びがあると、渡邉保幸校長先生はいいます。

「但馬地域で育った子どもたちと、地域外で育った子どもたちは、環境によって文化や気質が違います。それが、香住高校でともに学ぶことでいい影響や刺激を与え合います」

民宿や漁の風景を間近に育った地元の子どもたちに根づいた、お客様をお迎えする丁寧なおもてなしの心に、地域外の子どもたちが学ぶことも多くあります。また、地元の決まったメンバーで進学してきた地域内の子どもたちにとっても、これまでになかった価値観や人間関係を育成する機会になります。

 

 

グローバルに、ローカルに、未来への舵を取る

アクアコース タツノオトシゴの餌を分別

 

香住高校の多彩な学びに多大なバックアップをよせるのが、地域の方々です。例えば、「魚を食べよう!」を合言葉に魚食普及を推進している香美町で開催されるイベント「ととフェス」。このイベントで香住高校はシーフードコースの手がけた缶詰などの販売や、アクアコースの手がける香住高水族館の展示などを行います。ととフェスの運営を、香住高校と手を携えながら中心になって行うのが「香美町とと活隊」です。「香美町ふるさとづくり青年隊」と一緒に、学校側で手の回りにくいイベント運営の部分を担い、香住高校の活動を全面的にバックアップしています。

「香住高校に赴任して4年、校長としては3年目になりますが、地域が学校を支えてくれているという実感がひしひしと湧いている状況です。支え合い、助け合いの大切さ、それがとりわけ強いのが香住という地域だと実感しています」

地域の中の学び舎として、格別の応援を受ける香住高校。地域の皆様からもたくさんの学びを得て生徒たちは未来への一歩を踏み出します。

アクアコースの生徒たちが手がける水槽

 

生徒さんたちが香住高校で育むのは、自分の夢を見据えて、志した分野で輝くグローバルな視点と、地域を守り豊かにするローカルな視点。香住高校卒業生の進路は普通科、海洋科学科どちらも国公立大学、私立大学、専門学校、就職等多岐にわたります。香住高校で香住というローカルな視点を深め、地域で活躍する力。香住高校独自のカリキュラムで身につけた水産の知識をもってグローバルな視点で業界に貢献する力。生徒さんたちがどちらに舵を取っても輝けるよう、香住高校の先生方は尽力されています。

 

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