山暮らし一年生
2023.06.23
香住の町から、村岡の山の上へ引っ越し!
海から山へ。
引っ越した先は、香美町内でも特にたくさん雪が降るといわれる村岡区の柤岡(けびおか)。
山の斜面に家や畑が段々に配置され、どの家も日当たりや眺めが良い。
標高が300m以上ある為、雪がよく降る年だと積雪が2mほどにもなる。こうして、一見不便な村のはずなのに古い時代の石器が発見されているようで、昔から人々が住んできた地域であるようだ。
きっと、景色以外にも外からでは知られない住み心地の良さや秘密があるはずだ、住みながら確かめてみるつもりでいる。
探検 近所の人がかまってくれてうれしい限り
車があまり通らないので、子どもたちだけで散歩という名の「探検」に出かけられるようになった。
親としては、家でゲームや動画ばかりで過ごすのではなく、「自然豊かなところで子育てをしたい!」と、移住してきた醍醐味をいよいよ味わっている気がする。
しかし親が自然の中に出ていくことに貪欲にならないと、子どもたちはすぐにお家時間、インドア大好きに戻る。
やっぱり親自身が自分を変える必要があり、ゆっくりと変化していきたい。
一歩出れば、大自然。
準備は整ったので、あとは「タブレットを捨て自然に出よ」を実行するだけ。
ご近所さんから草花について教わっているところ
虫の襲来
カメムシ→アリ→ムカデ→次は何
3月末に引っ越して、最初に家に頻繁に遊びに来たのはカメムシだった。
カメムシにとって脅威となる行動をとれば、強いパクチー臭と、時に黄色い汁をかけられれば、肌がピリッと痛むのだとか。見かけとしては、折り紙で折れそうなホームベースの緑のかわいいやつに見えるのだけど。
窓を閉めているのに、どこからかやってくるカメムシ。
最初は、家族でギャーギャーと騒いでいたが、対処方法がわかってからは落ち着いた。
色々なカメムシへの対応方法が存在するようだが、我が家は雑誌や紙に「こっちにおいで~」と優しい気持ちでカメムシを乗せ、その刹那、窓の外に素早く放す方式で対処している。
次に訪ねてきたのはアリだ。
朝、横になったままふと目をあけると、私の手の甲がアリの行列のルートの一部になっていて、無数の小さなアリが手の上に。
「ひぃ」と振り払い、朝からアリ退治。
部屋への新旧経路を見つけてパテで塞ぎ、部屋中を散策しているアリを掃除機で追いかける。
2ヶ月ほどかけてすべてのアリの入り口を閉ざすことに成功し、以来アリは来なくなった。
ラスボスはムカデ。
起きる予定よりまだ1時間ほど早い時刻に、おでこに何かをさわさわさわと感じ、まだ夢の中にいながら無意識におでこを払った。
すると、「ドサッ」という感覚が床に何かが落ちた気がして、目を開けるとそこには慌てた様子の14cm大のムカデがじたばたしていた。
その後、私も慌てたのは言うまでもない。
幸いにも嚙まれはしなかったが、私や子ども達の心にムカデ流のおはようがかなりショッキングに突き刺さった。
ムカデ避けの薬を家の周りに撒いたり、餌方式の毒ものを置いたり、ひのきのスプレーを窓辺に撒いたり、大きなカヤを買ってその中で寝るようにした。
それ以降も定期的に、ムカデが迷いこみ続けていた。
「あなたの、食べるものはこの部屋には無いのよ!」
言葉が通じたらどんなに楽か。調べたり、人に聞いたりしすぎてどんどんムカデ情報の中に浸っている。
家にいるときに、ムカデに出てきてほしくないのに、キョロキョロと壁や床にムカデの影を探し続けている悲しき矛盾のムカデハンターとなってしまった。
冬になり、ムカデも出なくなり、「冬最高!」と思えたのはムカデのおかげか。
いや、恩などない!(ムカデについては情緒不安定)
これで戦う!
追記
その後、熊の足跡らしきを雪の上に発見したり、家の前でマムシの目撃談があったり、ここが天井だと思っていた生物よりさらに上をゆく生物が出てきて、少年ジャンプの連載のようなことになってきている。
自然の驚異!草木に飲み込まれそう!?
3月末は積もった雪が溶け、雪の無い景色を新鮮な気持ちで眺め、春を迎えた。
枯れ木がゆっくり芽吹き始め、5月くらいまでは色づいていく景色や道端の草花を
「きれいだなあ」と眺めていた。
今、思えば呑気すぎたのかもしれない。
そのあとの草木の猛烈な成長ぶりは、町からの移住者を大いにびっくりさせた。
手で草刈りしていたが、2週間と経たずに背が高くなる草。
家の四方を囲む草ゾーン、石垣にもわんさか草が生えてくる。
次第に暑くなってきた頃には、体調不良と相まって、私の草刈りの緊張の糸がプツンと切れてしまった。
「こんなのは無理だ。冬が来て、草が枯れる日を待つ作戦に切り替えよう。」
きっと、移住者でなくてもこんな覚えがあるのではないか。草刈り燃え尽き症候群。
その後、ご近所さんの助けを借りたり、草刈機を購入し、なんとか社会復帰している。
いずれにしても、植物が雨と日光によって破竹の勢いで育つ姿を、都心の光化学スモッグとともに育ってきた私は「理科の教科書に書かれていたことは本当だったんだ」と信じられない思いで見つめている。
いろいろな初めてを楽しもう。