高校生のための下宿をオープン、まちの力を高めたい

下宿管理人 西村直哉さん
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地域のために、高校生のために、下宿をオープン

 

(村岡高校近くの下宿「川上寮」 外観)

 

香美町内の高校の一つ、村岡高校。香美町内・近隣市町の生徒たちの進学先として選ばれるほか、平成26年に新設された「地域アウトドアスポーツ類型」では、全国からの出願・入学が可能です。遠方から入学する生徒たちにとって必要不可欠な下宿ですが、入学したい生徒に対して下宿の数が少なく、選択肢があまりないという状態でした。

村岡区に生まれ育ち、自身を含め兄弟3人共村岡高校の卒業生だという西村直哉さんは、下宿についての現実を知り、「なにか自分にできることはないか」と考えました。

「家業の石材店に勤めていますが、まちの暮らしに根づいた仕事なので、まちを元気にするために何かしたい、と以前から考えていました。若者まちづくり懇話会での活動を通して下宿についての状況を知り、『自分がこのまちのためにできること』の方向性が見えたように思います」

初めは下宿を開いてくれる人を募集し、声をかけていた西村さんでしたが、

「なかなかみつからず、これは自分でやってみるしかないな、と」

親族が暮らしていたという空き家を2019年11月からリノベーションし、2020年2月に新しい下宿「川上寮」をオープン。2020年度からの入学生のほか、在校生の転居も受け入れています。現在西村さんは下宿の管理人として、建物のメンテナンスや食事の手配を行い、下宿生の暮らしの環境を整えています。

(広々とした、下宿内共同スペース。2階は一人ひとりの個室あり。)

 

西村さんから見た香美町・村岡高校

香美町で生まれ育ち、町内で家業を営む西村さんは、このまちを「良くも悪くも人間関係が濃密な場所」と評します。自分が頑張っていれば、周りも自分を応援してくれる場所。人とつながることが、自分をバックアップする力につながる場所。都会のような便利さがなくても、混雑するようなこともなく、豊かな風景に囲まれた環境は「若いうちには気づきにくいかもしれないけれど、とても価値のあること」だと西村さんは話します。

 

(共有スペースの食堂。食事は地元の業者の協力を受けている)

 

「村岡高校の学びにも特色があります。『地域アウトドアスポーツ類型』では、普通科の授業を受けながら、『地域創造系』か『アウトドアスポーツ系』の授業も受けられます。地域創造系では、地域をよりよく知るための知識を学んだり、聞き取り調査を経て地域の課題を研究したりします。アウトドアスポーツ系では、部活動として有名なスキーをはじめ、アウトドアスポーツ、冒険教育などさまざまな体験ができます。下宿生のほとんどは、アウトドアスポーツ系で学ぶことを目的としています」

特色ある学びに惹かれ、見知らぬ土地で暮らすことを選んだ生徒に、高校での3年間をなるべく快適に楽しく過ごしてほしい。西村さんが下宿を開いたのには、そんな思いがあってのことでした。

(西村直哉さん)

 

下宿を始めた今思う、下宿と地域のつながり

 西村さんは、下宿の管理人という立場だけでなく、生徒の身近にいる大人として暮らしをサポートしています。

「これまでは、遠方から下宿して高校に通っていても、地域との関係が上手くいかないケースもあったようで、『地域の中で、地域の人とつながって暮らす』感覚が、外から来た生徒たちにはなかなかつかめないものかもしれないと感じています。地元で育ってきた自分が間に立ち伝えることで、生徒たちが地域での生活に馴染み、楽しめるように配慮したいと思います」

また、実際に下宿を始めてから見えてきた地域の課題もあるそうで、生徒たちの暮らしをサポートするためには、もっと学校や地域と、下宿とが連携しないといけないと痛感しているのだとか。

「生徒たちはせっかく志を高く持って入学しているので、学校だけでなく、放課後の生活も充実したものにしてもらいたいと思っています」

ただ住むだけの下宿ではなく、一歩地域に踏み出す下宿であるための方法を、西村さんは模索しています。そして、学ぶために香美町と縁ができたという生徒たちの暮らしをサポートすることが、自分が育ったまちの力につながることを願っています。

 

 

 

西村直哉さん

下宿お問い合わせ先:vukx01573@maia.eonet.ne.jp

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香美町若者まちづくり懇話会の記事:https://kamicho-ijyu.com/cms2/konwakai/

 

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