部屋の中で白い息が出るってどういうこと?

2023.02.22

       

好きなものはずっと眺めていたい

年が明けて少し寒さがマシになった。

だけど大好きな海を眺めるには曇りがちで雨が多い時期だ。

 

ぱらぱらと雨の降る日に買い物に出かけた。

スーパーまでのいつも通る道だけど大荒れの海にやっぱり目を奪われる。

灰色と群青色を混ぜたようななんとも言えない色をしていた。

なんだろう、藍色よりもっと灰色に近く濃い色。

どんよりとした空とはまた違った深みのある色だった。

 

友人に電話をかけて「この色も好きだな」と伝えた。「するとそれって綺麗なの?」と返ってきて

「綺麗じゃないのかも知れない!でも海にも感情があるみたいで、なんか好き。」と伝えて電話を終えた。

 

そう、私のときめきやグッとくるものは写真で見てもそんなに美しくない気がする。

 

 

海が好きだと言って移住した私だがサーフィンやダイビングといった趣味があったわけではない。

 

根暗な私がカッコイイ趣味を持ってる人たちと仲良く出来る気がしない。教わるのも恥ずかしくてできなかった。

 

あと、本当は好きなものを知りすぎたくない。

 

海は誰かが作った芸術作品ではないからこそどんな勝手な解釈をしてもいいのが好きなところのひとつだ。

 

時にドレスの裾を翻すように踊り、時に何か怒ったように激しく、

そして悩んだり立ち止まったりする私に

「頑張れー!」と叫ぶように押し寄せては砕ける波をただ眺めている。

 

この景色を見て欲しいなと顔が思い浮かぶ瞬間も大好きだ。

 

 

冬の暮らしを知る

ひととき寒さがマシになったとはいえやっぱり一軒家は寒い。

 

部屋の中でも白い息が出るってどういうこと?!と苛立ちさえ覚えるし、寝室の電気毛布が私を離してくれない。

 

早い時間に布団に潜り込んだのに気づけば深夜、時間というものは雪より断然はやく溶ける。

 

朝、窓を開けるとツンと冷たい空気が入り込む。

よし、今日は降ってない。

次はいつ降るんだろうか、どのくらい積もるだろうかと不安になる。

 

人生初雪道を運転した日、後輪が雪に埋もれて駐車できなくなった。

助けを求めて電話をかけた3分後には軽トラに乗ったスーパーヒーローご近所さんが駆けつけてくれて

「なんやー、カメになったんかー!」と笑って言った。

どうやらこの最悪な状況のことをカメになるというらしい。

「カメ、、。」と小さい声で復唱したあと背中から白い湯気を感じるくらい雪かきをした。

 

猛反省した。

 

 

そのため次に雪が積もったら一歩も家から出ないと心に決めていたのだ。

事前に食料や日用品を買い溜めしておいた。

こういう時に自分の生活になくてはならないものが分かる。

コーヒーとチョコレートにたばこ、どうしてものときのカップ麺。

 

大好きなお家に篭って、映画やドラマを見る。

少しの晴れ間を見つけては海を見に行き荒々しい海と柔らかく冷たい雪のコントラストにうっとりした。

 

 

そしてついに大寒波がやってきた日のこと。

屋根に積もった雪がドン!と落ちてくる音は何度聞いても恐ろしい。

 

「あーこわいこわい。」と独り言を呟くのも待たずに

ドコドコドコ!ダダダダ!ガリガリ、ガサガサッ!と上から音がした。

 

これは屋根裏にネズミか何かが住まわれているようだ。

(きっとネズミたちも新入りの私を噂していることだろう)

 

騒がしいのはお互いさまかもしれないが悩みの種になりそうな予感がしている。

 

 

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