山暮らしステップアップ講座 ~人はこうして自然と親しくなる~
2025.02.28
▲ステップ1:自然に圧倒されるばかり期
まずはこれ。 山に来たばかりの頃は、とにかく草木のエネルギーに圧倒された。猫じゃらし、ススキ、ぺんぺん草くらいは知っているけど、他の植物はあまりよく知らない。名前を聞いても覚えられず頭に入らない。初めて行く言葉も通じない国でキョロキョロと様子を見ながら想像を巡らせているような、右も左もわからないうぶな頃だ。休みの日を半日使ってせっせと鎌で草刈りに勤しむ。やり方もよくわからないけれど庭を手入れしているという行為に満足する。ある日、草の伸びる速度に気がつき、呆然となり突然、庭の手入れをしなくなるのもこの頃。背丈の高くなったクローバーの草むらになった庭も、それはそれで珍しくて満足している。まるで、丁寧な暮らしをしている人の仲間入りをしたような気がするのもこの頃。
▲ステップ2:自然を装飾してみる期
次にやってくるのが、少し余裕が出てきたこの時期。道ばたに咲いている花々が気になり始める。この頃には無性に摘んで持ち帰りたくなるのだ。これが「道草ブーケ」の始まりである。「うほー、かわいい」と作った道草ブーケを適当な空き瓶に入れて家に飾る。 けれど、数時間後には「あれ、ねえ、これ油虫湧いてない?」という事態に遭遇し、外の草原に戻しに行く。しかし、それでも懲りずに次はリースを作ってみたくなる。つまり、ここでのテーマは「自然を自分の生活に取り入れようとしてみる」ということだ。少しずつ、草木の名前も覚え始める。
▲ステップ3:自然を摂取してみる期
さて、次の段階に進むと、いよいよ自然と「身体で」向き合い始める。道草を飾るだけでは飽き足らず、「これ、肌に塗ったらどうなる?」とか「お茶にして飲めないか?」とか、妙に実験的な気持ちが芽生えるのだ。見たこともない野草を摘んではスマホで検索。「えっと、この草は…あっ、食べられるって書いてある!しかも解毒作用だって!」なんて情報を見つけると、俄然テンションが上がる。野草の多くに利尿作用が含まれていることが多い。浮腫んだ人は、山に住め!春の山菜やセイタカアワダチソウも強力なハーブだ。
罪悪感のポテトチップスを味わった後、めっきり弱くなった胃がシクシク痛くなったならば、スギナをローストしたお茶を飲んだらスゥーッと痛みが引いていった。(効果には個人差有り)何これ、薬いらず!こうして人は和ハーブの世界へ足を踏み入れていく。
※野草には有毒成分が含まれていることもあるので自己判断による野草の利用には十分ご注意ください。
いかにも強力そうなセイタカアワダチソウ
ポテチの痛みを緩和してくれたスギナさん
ドクダミと蛇苺で作ったチンキ(ハーブをアルコールにつけて有効成分を抽出したエキス)
▲ステップ4:自然と対話してみる期
現時点での最後に訪れたのが、「自然と対話する期」だ。ここまでくると、ただ眺めるでもなく、飾るでもなく、摂取するでもなく、なんというか、「話しかけてみよう」になる。気のなしか、一気にステップを何段か飛ばした気がするかもしれない。「何を言ってんだ草」みたいな人がもしもいたら、お近くの木に話しかけてみてください。木は木なりの方法で答えてくれる感じを拾ってみてください。それは気のせいではないと思います。 きっと、昔の人はやっていた方法を手繰り寄せながら、現代を生きてみたい。この道をたどるのに要する時間は人それぞれだけれど、どのステージにいても、その先にはきっと、もっと豊かな奥行きのある移住暮らしが待っている。以上が「移住者の自然馴染みステップアップ論」でした。(←命名したけど覚えられなくてコピーして貼りました。)