海産物、豊かな海、人、香住の魅力を広げたい

ネットショップ舫~moyai~ 池本大志さん
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旧・老舗料亭「岡見亭」。香住海岸を一望できる絶好のロケーションにあり、木造平屋の建物の中は広々としたスペースです。2018年、この絶景スポットがICTオフィス・レンタルスペースとして21年の時を経て復活しました。香住の質の高い海産物などを多くの人に届けるためオープンした、ネットショップ「舫(もやい)」をはじめとし、ここが新たに人と人をつなげるスペースとして生まれ変わったのは、Iターンをしてきた池本大志さんがこの場所に出会ったことがきっかけでした。


(池本さんのオフィスのあるレンタルスペース岡見 外観)

 

質の高い海産物と香住の人の人柄に惹かれて

池本さんは大阪府高槻市在住時に自然食品を扱う団体に所属し、配達、企画など幅広い分野で経験を積みました。企画の仕事の中では海産物のバイヤーとして活躍。香美町の中でも、日本海に面し水産業が盛んな香住はその取引先の一つでした。香住の質の良い海産物と関わるうち、「いつか魚の美味しいところに住みたい」という気持ちが高まり、思い切って2017年1月に香住に移住しました。


(池本大志さん)

 

「香住の人は、優しく気前のいい人が多いという印象。この人達と繋がりながら、質の高い海産物を欲しい都市部の人に届ける仕事ができたらと考えました。」

香住での暮らしは、都会の暮らしと大きく違いました。まず、季節によって漁師さんの働き方が全く変わり、まちが全く違う風景になること。漁がないときは別の仕事をしながら、季節に合わせて暮らす香住の海に生きる暮らし、果敢に漁業にチャレンジする強い精神に、多くのことを学び、多くの人に香住の人や海産物と出会って欲しいという思いがますます強まりました。

香住の海産物や作品を多くの人に届けるネットショップ「舫」オープン

香住に移住し、まずは現場を知りたいと考えた池本さん。水産加工の会社に所属し、情報発信を中心に海産物を届けるべく活動していました。そんな池本さんに訪れた第2の転機もまた、人・場所との出会いでした。

「ものづくりをしている方々と繋がり、海産物だけでなく、ここで出会えた人が作っているもの、自分がいいなと思えたものを集めてセレクトショップをできたらと考え出すと止まらなくなって」

ネットを使ってセレクトショップを開くことを構想し、拠点を探していた池本さんは、香美町のすすめるICTオフィス開設支援の候補地だった「旧岡見亭」と出会います。

「景色も物件も素晴らしい、ここをオフィスにできるというのは、まさに千載一遇のいい話を頂けたなと思いました。だからこそ大切に使いたいと強く思いました。」


(レンタルスペース岡見から臨む海)

 

所有者の方たち向けてのプレゼンを行い、旧岡見亭を使用できることになった池本さん。バイヤーとして培った目を活かし、香住の海産物や手作り品などをセレクトしたネットショップ「舫」を開設しました。「舫」の由来は、「(海産物や作品を)提供する人と、受け取る人を結びつけたい、つなげたい」という思いから。ネットショップ「舫」が、サービス精神が豊かで、もてなし上手な香住の人と、クオリティの高い海産物を求める人との出会いの場になることを今後の展望としています。


(ネットショップ「舫」で取り扱う、香住、柴山港で水揚げされる甘えび。鮮度抜群の船上凍結です。)

「こんな素晴らしいスペースを、自分たちだけで使うのはもったいない」という気持ちから、オフィスとしている旧岡見亭を、「レンタルスペース岡見」として、ヨガやギャラリー、食事会などに使えるフリースペースとして提供しています。また、海を眺めながらゆったりコーヒーなどのドリンクを楽しめるカフェも開設。気軽に立ち寄れるスペースになっています。

地域の人が立ち寄ってホッと一息ついたり、ギャラリーとして自分の作品を展示するなど自己表現の場として使ったり。今後は飲食も含めたイベント運営も視野に入れ、「ここで出会った人が交流して何か新しいことが生まれる場であれば」と考えています。


(レンタルスペース岡見 素敵なバーカウンター)

漁業以外の地域産業「海上タクシー」を応援したい

 


(かすみ海上GEO TAXIの運転手のお一人 荒木 則雄さん)

 

 

旧岡見亭から見える海は、2019年5月にスタートした「かすみ海上GEO TAXI」のコースとなっています。香住海岸は、ユネスコ世界ジオパークに認定されている山陰海岸国立公園の中心地。かすみ海上GEO TAXIではなかなか見られない絶景スポットを小型船で巡ります。

海岸からは計り知れない自然の産物、岩や波が作り出す洞窟のような場所、美しく透き通った海水など、たくさんの見どころに感動間違いなしの遊覧を終えた後、レンタルスペース岡見から海を眺め、ゆったりと素敵な体験を振り返るのもおすすめの過ごし方です。

池本さんもこの事業を応援していて、「香住はカニなど、冬の仕事はもともと多くありますが、海上タクシーが始まることで漁師さんの夏の仕事ができると知り、地域の新しい事業として応援したいと強く感じました。香住はジオパークの中でも中心地なので見どころがとても多く、ぜひ長時間のクルーズを楽しんでいただきたいです。」と話します。


(海上タクシーから見るレンタルスペース岡見)

 

長年海に暮らし続けてきた漁師さんだけが知る、穴場絶景スポットに行けることはもちろん、香住の人が持つ強く優しい人柄に触れ、香住の海を知り尽くしている漁師さんだからこその詳しい解説も味わい深く楽しめます。

「食文化」としての香住の海産物と、それを生み出す広く豊かな海、それに携わる人。全てを結びつける池本さんのこれからのご活躍に期待が高まります。

 

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