「ハチ北ミュージックフェス」と「ハチ北の人たち」に惹かれて

ハチ北ミュージックフェス 実行委員 ムッティーさん
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香美町村岡区、鉢伏山の北東山麓に広がるハチ北スキー場。開業は1969年という歴史ある老舗スキー場です。その雪質とやや中級者向けのコースが好まれ冬はスキー・スノボ客で賑わう一方、実は毎年、夏本番前にも見逃せない音楽イベントが開催されます。ハチ北ミュージックフェス(以下ハチ北フェス)は、初夏のゲレンデという雄大な自然風景の中行われる野外フェスです。

 

2023年ハチ北ミュージックフェス・来場者の様子

 

最高のロケーションで味わう美味しいご飯とお酒と心躍る音楽に会場にいる人々の笑顔が弾けます。年々注目度が高まるハチ北フェス、その実行委員のお一人であるムッティーさんにお話を伺いました。

ムッティーさん

 

ハチ北フェスに出会い、ハチ北フェスのために移住

ムッティーさんは京都市で生まれ育ちました。12歳でギターと出会い、16歳で京都河原町・新京極通で初ライブを開催。その頃から音楽の道で生きていくと心に決め、現在は日本・台湾・韓国などでライブ活動をするポップス集団「KINEMAS」でギタリストとして活躍するほか、京都市西京極で音楽スタジオを構えオーナー業を営むなど、音楽のためにあちこち飛び回る毎日です。

ムッティーさんが初めてハチ北を訪れたのは2018年。ハチ北フェスのブッキング担当からフェス運営を手伝ってほしいと声をかけられたのがきっかけです。ハチ北フェスの中心メンバーと意気投合し、フェスと直接関係ない時期にもたびたびハチ北を訪れるようになりました。

 

2023年ハチ北ミュージックフェスにて撮影

 

国内・海外で数々のフェス作りを手掛け、出演してきたムッティーさんにとって、ハチ北フェスは大きな魅力を感じるとともに、人手不足や発展性の面などで課題を感じるフェスでもありました。2019年からはハチ北フェスを総合的にプロデュースするようになり、京都に住みながら、香美町メンバーと連絡を取りあってフェスづくりに取り組んできました。熱が入るほどに浮き彫りになったのが『距離』の問題。地元のメンバーなら当たり前に知り、肌で感じていることをプロデューサー側が分かっていないという現状では、ハチ北フェスはこれ以上良くならない。ならば住んだほうが早いと肚を決め、2022年8月、ムッティーさんはハチ北に移住しました。

 

2023年ハチ北ミュージックフェス・実行委員として

 

生産する暮らしと、ハチ北の人に惹かれて

生まれたときから京都に住み、幅広い地域を飛び回り活動してきたムッティーさんが、はじめて故郷を離れて住む場所にハチ北を選んだ決め手は、「ハチ北の人たち」でした。山の人間の強さ、強さに裏打ちされた優しさと温かさ、自然を相手に生き抜いていくための知識。その全てが印象深く、「この人たちから学びたい」とムッティーさんは強く感じました。

都会の暮らしでは、食品でも日用品でもあらかじめ整えられたものが既にあり、お金を稼いでそれを購入するのが当たり前。生活のリアリティを感じることが希薄で、ただ消費することの繰り返しのように感じていたというムッティーさん。しかし、ハチ北の人たちは、当たり前のように自分たちでお米や野菜を作り、動物たちと共存して暮らしている。そのシンプルで生産的な生活を目の当たりにし、好奇心が刺激されたそうです。

 

2023年ハチ北ミュージックフェス・設営

 

家もハチ北フェスで知り合った人のつながりで見つけました。今住んでいるのは、もともと簡易旅館だったという木造二階建ての物件。現在は、その物件を奥さまとハチ北フェスを通じて知り合った大工さんと一緒に、少しずつ改修しながら暮らしています。改修にあたっては、香美町の空き家の改修費に関する補助制度を活用しました。「このペースだと何年かかるかわからない」と笑うムッティーさんですが、わからないところは地元の人に聞きながらマイペースで学びつつ、家の改修を楽しんでいます。

 

2023年ハチ北ミュージックフェス・設営

 

ハチ北に来て強く感じるのが「村としてのつながり」。ムッティーさんが育った場所でもかつては地域のつながりや町内会のイベントがありましたが、大人になるにつれ希薄になり、廃れてしまったそうです。ハチ北では村の自治会、区の総会、盆踊りやまつりなど地域の催しが残っていて、ムッティーさんはそれらに積極的に参加し、懐かしくも新鮮に感じる日々です。地域住民の強いつながりはありますが、ムッティーさんのようなIターン者も温かく受け入れてくれたといいます。移住する前から、ハチ北フェスの関係で何度も何度もハチ北を訪れていたので、地元の人にとっては安心感があったのかもしれません。ムッティーさん自身、村の文化や歴史を学びたいという意欲が強く、村の人達もその意欲に応えて優しく何でも教えてくれる、そんな良い関係が築けています。

2023年ハチ北ミュージックフェスにて撮影

 

ハチ北と近隣地域で手を繋いで、新しいチャレンジの生まれる場に

ハチ北という場所は、1時間圏内で香住、小代はもちろん城崎、豊岡、湯村など但馬のほとんどの地域にアクセス可能です。この立地を活かし、但馬全域で連携を取ることでハチ北フェスはもっと広がりを持つのではないかとムッティーさんは考えています。音楽は国境をも超える。香美町というまちはまだ合併してから年数も浅く、香住、村岡、小代の3つの区はまだまだ連携していける余地があります。そんな香美町のみんなで手を繋いで新しいことにチャレンジしたい。そのチャレンジの生まれるきっかけの一つが、ハチ北フェスになれば良いと考えています。

 

2023年ハチ北ミュージックフェス・KINEMAS演奏風景

 

ハチ北フェスでは、「K-106」や「バグダッド・カフェ・ザ・トレンチ・タウン」など、普段阪神エリアで活躍するミュージシャンが多数出演します。これはハチ北にとっても貴重なことで、都会で活躍するミュージシャンの方にとっても、自然豊かなロケーションで演奏することは希少な機会です。場所とミュージシャンが相互にリスペクトしあえるような特別な空間がそこにはあり、不思議な居心地の良さを感じます。

「でもこの魅力は言葉では伝えきれないので、ぜひ来て、雰囲気を感じてもらいたいなと思っています」と話すムッティーさん。他のフェスにはない、雄大なロケーションとのんびりした雰囲気、フェスが初めてという人でも自然にくつろげる要は空気感。ハチ北フェスをきっかけにハチ北に集まる人同士がゆっくり繋がりながら、新しいものが自然発生していくような場所になればという思いを持ちながら、ムッティーさんは次のハチ北フェス開催に向けて日々活動しています。

 

2023年ハチ北ミュージックフェス・KINEMAS演奏風景

 

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