小代で遊ぶ楽しさ、暮らす楽しさを自ら作り出し発信!

「山の駅SHAKUNAGE」松田晃宏さん
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棚田の広がる優美な風景が広がり、2012年に「日本で最も美しい村」連合に加盟認定された香美町小代区。冬場はファミリーを中心としたスキーヤー・観光客でも賑わいます。そんな小代全体の見どころを紹介する「小代観光協会」の中に、モダンテイストのカフェ・バー「山の駅SHAKUNAGE(シャクナゲ)」があります。

オーナーの松田晃宏さんはご実家の家業でもある「民宿 松田屋」の若旦那でもあります。飲食店と民宿の経営を両立させながら、更にアクティブに小代ライフを楽しむ松田さんに、小代暮らしの面白さをお伺いいたしました。

「山の駅SHAKUNAGE」外観

 

 

好きなことを仕事に!ふるさと小代「山の駅SHAKUNAGE」でワクワクを形に

 

前述の通り、小代の民宿で生まれ育った松田さん。いつか自分が民宿を継ぐイメージを持ちながらも、それは第二の人生として、ずっと先のことだと考えていました。大学進学を機に小代を離れ、就職で大阪に。飲食とは全く違う分野で活躍していましたが、大学在学中にアルバイトをしていた飲食業界に再度惹かれ、転職。

松田晃宏さん

 

「飲食業は拘束時間も長く、お店を閉めている時間にもすることが多くあり、傍目から見たら大変な仕事だと思われるかもしれません。でも自分にとってはさほど大変に感じることもなく楽しめて、『好きなことを仕事にする』ってこういうことなのかな」と感じました。

その後も飲食店のプロデュースに関わるなど、大阪で好きな仕事に励んでいた松田さんでしたが、ご家族に乞われ、想定より早い30代で小代に帰郷。民宿の仕事を手伝いながら、「ただ後を継ぐだけでなく、なにか面白いことができないか」と考えていたとき、現在「山の駅SHAKUNAGE」がある物件の前オーナーに出会います。トントン拍子に話がまとまり、飲食店勤務やプロデュースの経験を生かして小代では珍しいカフェ&バースタイルのレストランを開店。2013年に帰郷してすぐのスピード起業でした。

「山の駅SHAKUNAGE」内観 バーカウンター

 

 オープンに当たり、同世代が利用しやすい場所、若い人たちが入ってみたくなる場所をと、手作りの棚などを中心にモダンで落ち着ける、シックな空間づくりを心がけました。夜間は予約営業ですが、柔らかい照明が空間を彩り、結婚式の二次会や同窓会に利用されることもあります。この空間づくりには、松田さんの小代に対するある想いがありました。

 

小代にいる時間をもっと楽しく充実したものに

「山の駅SHAKUNAGE」内観 テーブル席

 

 小代区の民宿は、スキー・スノーボードの季節がメインシーズンです。滝や棚田などの美しい風景や、大自然を体験する野外活動施設など、冬以外のシーズンでも見どころはありますが、観光地としてはハンデもあると松田さんは考えます。

「小代に来る方は、大阪や神戸などの関西圏の方が中心です。車があれば3時間で来ることはできますが、交通の便が良くないのでマイカーありきのプランになってしまいます。その中で小代を選んでくださった方には、スキーやスノーボードはもちろん、小代の滞在の時間を楽しんでいただきたいと思っています」

小代に帰って3-4年目からは家業の民宿も中心となって業務を引き継ぐようになり、大規模改修を行いました。旅行に来られる方の滞在の時間をより楽しいもの、充実したものにしてもらいたいという想いで、民宿の1Fにはカクテルなどが楽しめるお洒落なバーをオープン。そして、滝や棚田を楽しむ帰りにゆったりとコーヒーを楽しめる時間をという想いが、カフェスペースとしての「山の駅SHAKUNAGE」の内装にも表れています。現在「山の駅SHAKUNAGE」は、休日は香美町外の観光客の方を中心に賑わい、平日は地元の人の集まるスペースになるなど、日によって全く違う層のお客様に親しまれています。

「山の駅SHAKUNAGE」内観。照明や手作りの棚にもこだわりが

 

「小代は交通の便がどうしても悪いのですが、だからこそ、不便でもこの場所をめがけて来てくれるような魅力のある場所にしていきたい」

この場所にまた来たい。だから小代に、香美町にまた来よう。そう思ってもらえるような場所として、松田さんは「民宿 松田屋」「山の駅SHAKUNAGE」の場作りに勤しみます。

 

小代に新しい風を吹き込み、自ら仕事も遊びも楽しむ姿勢

松田さんがセレクトした但馬のお土産が棚に並びます

 

 「山の駅SHAKUNAGE」の魅力は雰囲気のある内装だけではありません。メニューに使用されている食材のクオリティの高さも特筆すべきもので、牛肉は地元畜産家である「上田畜産」から仕入れた「但馬玄(たじまぐろ)」を使用。「但馬玄」は上田畜産で月に2、3頭しか出荷されない希少な牛で、融点が低くサラッとした脂が特徴です。旨味や甘みをしっかり感じられ、後味もしつこくない高品質の肉で、海外や東京の高級店など卸先も限られています。和牛のふるさと小代で育った牛の肉でありながら、なかなか小代でも食べることができない但馬玄が、「山の駅SHAKUNAGE」ではローストビーフ丼、ステーキ丼としてランチに予約なしでも食べることができるという贅沢さです。

但馬玄の風味を活かすシンプルな調理で贅沢に ステーキ丼

 

 またお手軽な但馬玄の牛すじ入りのコロッケは、テイクアウトとして散策の傍ら楽しむことができるものをと考えられました。ランチメニューのコロッケを挟んだハンバーガーも、サクサクでコクのある味にボリューム感もたっぷりで人気の高い一品です。それまでの小代では見られなかった新しい方面でのメニュー開発でした。

牛すじコロッケはテイクアウトも可能

 

「新しいものに対して躊躇するような地域の雰囲気もありますが、これから若い人がたくさん来てもらえるような場所にするためにも、新しいものには積極的に飛びついたらいいのではと思います。こんな田舎だから……と謙遜しすぎる面もありますが、小代での暮らしは朝の出勤前にスノーボードをできるというような楽しさもあります。自分の工夫次第で、ライフスタイルはどんどん楽しくできる。それを自分で実践して、発信していきたいと思います」

 

 

 若い世代だからこそ発信できる小代暮らしの楽しみ方。同世代で「若旦那の会」を結成しイベント出店も行うなど、横のつながりも大切にしながら仕事も遊びも楽しむ松田さん。まずは自分が小代暮らしを楽しみ、そのスタイルに共感する仲間たちが増えるのを待望しています。

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