経験をいかして、地方の教育に支援の手を。都市から移住し、手探りで始めた学習塾。

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「できることをすればいい。失敗してもいいじゃないか。」

村岡校を中心に、関宮・養父・淡路に教室を展開している学習塾 SUPPORTEST(サポーテスト)の代表を務める岡先生。

長年、関西圏の進学塾講師として働いていた岡先生に転機が訪れたのは7年前。

前代表の王地さんに誘われる形で、村岡に移住し、地域に根ざした学習塾作りがはじまりました。

 

都市部では当たり前にある学習環境が、田舎では同じようにないのではないか?

都会のような大規模なものでなくてもいい、小規模でも必要なのではないか?

地方であっても、教育格差があってはならない。少しでも教育格差が是正できれば、

そんな二人の熱い思いから、サポーテストは始まりました。

学習支援サービスSUPPORTEST 代表 岡 伸二郎さん

 

サポーテストという名前は、support(サポート:支援する)の最上級という意味で、「生徒・保護者の立場になって、さまざまなニーズに最大限の支援を行う。」という願いを込めて、名付けられています。

 

地域の方へも思いが伝わり、二人で共同生活をしながら、縁もゆかりもなかった『村岡』に少しずつ慣れながら、生徒数も徐々に増え、少人数でスタートした教室が、今は 4 校、130 人ほどの生徒数になっているそうです。

 

 

一緒に始めた王地さんは、もう一度学び直したいと、社会人大学院生として改めて大学に入り、現在は勉強 · 研究を行っておられるそうです。

生徒さん第一に、一人一人に寄り添って、かゆいところに手が届く塾。

そんな存在となって、地域に受け入れられています。

 

―とはいえ、最初は全く違う環境に、とまどいはなかったですか?

 

 

「最初、村岡に来た当初は、今までの環境とのギャップにとまどい、”本当に自分にで

きるのだろうか?”という不安もあったのですが、前代表の王地に『できることをすればいい。』と言われてから、気持ちが軽くなりました。

『よそ者』をうまく利用して、非日常を楽しみ、新たなチャレンジができる。そうか、失敗してもいいじゃないか。と思えた。

私は車に乗らないんですが、歩くのも楽しいですよ。都市と比べて、極端に不便とも感じないし、歩いていても買い物していても話しかけてもらったり、自然がいいのはもちろんだけど、人が本当にいいと思います。人の心を感じられます。」

 

 

―塾においての都市部との違いや、但馬の子どもたちの印象は?

 

「但馬の生徒は、すごく素直で、とにかく一生懸命な子が多いです。内気ではあるけれど、勉強への取り組み方がすごくいいと感じます。親御さんとも信頼関係が築きやすく、任せてもらえるので、とてもやりやすいです。

 

 

『自分にできること』と考えた時に、今までの経験が、子どもたちの役に立てるかも、相談に乗れることもたくさんあるんじゃないか、と思った。

 

実際、勉強以外にも伝えられる情報はたくさんあります。生徒とも、真面目な話も、くだらない話もよくしています。

大学受験の指導の中でも、いろいろな経験があるので、様々な相談に乗ってアドバイスすることができる。

 

ー村岡で学習塾を立ち上げてみて、よかったと思う点は?

「嬉しいのは、卒業した子たちが会いに来てくれたり、ありがたい言葉をたくさん頂くこと。いつも感謝の気持ちでいっぱいになります。

やってきたことは間違ってなかった。塾を作った価値があったのかなと感じる瞬間です。

 

 

 

『失敗してもいいじゃないか』、という気持ちで新たなチャレンジ

 

週 1 で、村岡高校での臨時講師をしたり、週末には淡路教室までバスを利用して通う、お忙しい先生ですが、塾とは関係なく、村岡に移住してから、新たなチャレンジもされています。学生時代にしていた『演劇』をリスタート。

脚本もお芝居も全て一人でする『一人芝居』を、何度か村岡でされているそうです。

 

「『失敗してもいいじゃないか』、という気持ちで新たなチャレンジも楽しんでいる。約 20 年ぶりに再開できたのも、生活環境が変わったから。覚悟さえあれば、リスタートはいつからでもできると思います。」

 

これからも、今まで以上に丁寧にやっていきたい

 

「場所を借りたり、生徒を募集したり、それは地域とのつながりがあってこそ。地域の人に望まれて継続できるのが理想なので、これからも、今まで以上に丁寧にやっていきたいと思っています。」

(著者:香美町町民ライター 中村美和子)

 

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