教育×田舎暮らし。村岡高校の教育コーディネーターとして

村岡高校 教育コーディネーター 髙橋大蔵さん
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2021年10月、神奈川県から香美町に移住してきた髙橋大蔵さん。現在は香美町地域おこし協力隊として、村岡高校の教育コーディネーターをしています。縁もゆかりもなかった香美町に移住し、教育の仕事に取り組む髙橋さんに、これまでの歩みとこれからの展望についてお伺いしました。

 

「田舎の教育現場を見てみたい」という思いで地域おこし協力隊に

髙橋さんは神奈川県で生まれ育ち、東京都の大学を卒業後、不動産管理会社に就職しました。5年ほどの勤務経験の中で、営業職に魅力を感じた髙橋さん。しかしながら、「より人と関わり、人の喜ぶ姿を間近に見られる仕事をしたい」と思い、教育の世界に飛び込みました。その後、学習塾で教室長を務め、様々な子どもたちの成長を見守るうち、教育の仕事の魅力を実感したといいます。また、ずっと神奈川県と東京都で暮らしてきた髙橋さんには、田舎への漠然とした憧れがありました。田舎で教育に関わる仕事ができないか、そう考えていた髙橋さんが地域おこし協力隊について色々と調べて魅力を感じたのが、香美町にある村岡高校の教育コーディネーターでした。

2021年当時は、コロナ禍の真っ只中。オンラインで面接を受け、トントン拍子に話が決まりました。住まいは、WONDER KAMIの空き家バンクを利用し、オンライン内見をして決定。教室長を務める塾の子どもたちからも応援を受け、初めての田舎暮らしに挑戦しました。それまでペーパードライバーだったという髙橋さんですが、香美町はいわゆる車社会。夜道に鹿がよく現れることや2021年・22年の冬に雪が多かったことは、生活面で大きなギャップでした。住み始めた空き家にはエアコンがなく、寒さ対策にも一苦労。それでも実際に村岡区で暮らしてみると、「生活するのに必要なものはそれほど多くない」という気づきもありました。必要なものは通信販売を利用するなど、買い物に関する不便さを感じることはほとんどないと言います。近くにスポーツジムはないので、自宅に器具を設置しオリジナルのトレーニングルームを作りました。近所に一つでも映画館があれば……と思うことはありますが、香美町での暮らしは、食べるものが美味しく、四季の移り変わりを感じられる暮らしを贅沢に味わうことができ、充実した日々だと語ってくれました。

教育コーディネーターとして、地域を学ぶ子どもたちと関わる

 

村岡高校は兵庫県の第5学区(豊岡市、美方郡、養父市、朝来市)に所属しますが、平成26年新設された「地域アウトドアスポーツ類型」には全国から出願することが可能です。地域アウトドアスポーツ類型は、「地域創造系」と「アウトドアスポーツ系」の2つのコースに分かれています。その中でも教育コーディネーターが関わるのは「地域創造系」の生徒たちです。

地域創造系の生徒は、地域をよりよく知るための基礎的な知識、地域を知るための聞き取り調査や課題探求などを行います。卒業に向けては、課題解決の方法を冊子にまとめ、地域に向けて発信。地域の人との交流や人前で自分の意見を述べる機会が豊富にあります。

村岡高校の教育コーディネーターは、村岡高校に常駐し、地域の教育資源を掘り起こし、学校や地域関係者等と協力しながら「地域づくり」「人づくり」の教育実践や教育支援を行う役割を担います。総合的な探究の時間等の企画及び連絡調整、村岡高校が地域イベントへ参画する際のつなぎ役、地域の若者や地域の小中が連携した活動のコーディネートなど、その活動内容は多岐にわたります。特に鳥取大学地域学部とは密に連携を行い、鳥取大学の先生を招いて地域学を学ぶ際の調整役を担うほか、ジオパークと海の文化館の館長など、地元講師も含めた外部講師の方々と連携して授業を形作っていくことも大きな役割の一つです。

関東で関わってきた子どもたちと比べて、「村岡高校の生徒たちには、当初、やや恥ずかしがり屋な印象を受けた」という髙橋さん。それでも地域創造系の取り組みを通して、自分たちの学びを発表する機会が増えるにつれ、どんどん自信をつけていく生徒たちの様子には大きな成長を感じました。教師とはまた違う、サポーターとして並列的に関わる髙橋さんのような存在がいることも、生徒たちにとって新しい出会いであり刺激になっているようです。

これからも地域での教育に関わりたい。髙橋さんの展望

 

平日昼間は村岡高校の教育コーディネーターとして活躍する髙橋さん。夜間や休日は、前職の経験を生かして地域やオンラインでの家庭教師も務めています。地域では、それぞれの児童・生徒たちの学びの希望に合わせて、個別できめ細やかなサポートを行っています。オンラインの家庭教師としては、都市部の子どもたちを中心にzoomを活用して個別のサポートを行っています。オンライン学習の発展により、移住後も得意なことを生かして働き続けることができています。

教育コーディネーターとしての任期は2024年9月末まで。それ以降の展望を尋ねると、「しばらくこの但馬地域で、地域の教育に携わっていきたい」とのこと。ここで暮らす子どもたちに良質な学びの機会と、より良い学習環境を提供できるよう、任期後も家庭教師などを続けながら、自分にフィットした形を見つけていきたいと考えています。

学校名   兵庫県立村岡高等学校

TEL       0796-94-0202

所在地   兵庫県美方郡香美町村岡区村岡2931

HP         https://www2.hyogo-c.ed.jp/weblog2/muraoka-hs

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