好きなことに囲まれて過ごすための、「たった一つの出会いの見つけ方」

森田洋子さん
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(ヌーピーズ キーボード担当 森田洋子さん)

充実した週末やアフター5の時間は、日々の生活に張り合いをもたらし、「また頑張ろう」と前を向けるきっかけや元気の源にもなります。新しく、きれいで、目を引くものがどんどん出てくる都会の暮らしに比べ、地方の暮らしは一見、張り合いを見つけるのが難しく感じられるかもしれません。

「『あったらいいな』と思うものが近くになかったら、自分たちで作ることだってできます」

そう話すのは香住在住の森田洋子さん。但馬を拠点にロック、パンク、ファンク、プログレなどさまざまな要素を取り入れた音楽活動を行うバンド「ヌーピーズ」のキーボードを担当するほか、カメラを片手に香美町内で写真を撮るツアーを企画する「おさんぽカメラ部」に所属するなど「好きなこと」をたくさん暮らしに取り入れています。


(おさんぽカメラ部 メンバーと)

 

「もう地元に帰ることはない」京阪神でライブを楽しむ日々

香住生まれ香住育ちの森田さんは中学生の時、音楽の選択授業をきっかけにメンバーを組み、バンド活動をはじめました。高校進学とともにバンド活動を離れ、2年生からは学校の寮に入ったことで香美町からも離れて、その後は京都の大学に進学。そのまま京都で就職し、休みの日には京阪神のライブハウスでさまざまなバンドの音楽に触れるなど都会の暮らしを謳歌していました。

「帰郷は全く考えてなくて、『帰らないの?』と聞かれても『地元にタワレコとスタバができたら帰ろうかな』と答えていたくらいでした」


(取材場所 香美町香住区 下岡スタジオ)

2012年、それまでの都会暮らしに区切りが見えてきた頃、仕事の縁があり帰郷。「思った以上に歓迎してくれて、まるで凱旋みたいでした」と当時を振り返る森田さんですが、帰郷当初は都会の暮らしが恋しかったといいます。大好きだったライブハウスも、おしゃれなお店もない。同級生は地元を離れた人や子育てなどで忙しい人も多く、誰かと出会う機会が極端に少なくなったように感じられました。物足りなさを拭えなかった日々に一石を投じたのは、ある一つの「出会い」でした。

 

「あったらいいな」を自分たちの手で作りあげる

「今もバンド活動してる? バンドメンバー探してる人がいるんだけど会ってみない?」

友人の結婚式で出会った中学時代の友達のひと言。紹介されたのが現在の「ヌーピーズ」のリーダー、平尾仁さんでした。

「『面白い人だな』とは思ったのですが、私にはコピーバンドの経験しかなく、オリジナル曲を手掛けるヌーピーズに慣れるまでは戸惑いの連続でした」

クラシックピアノを中心に嗜んできた森田さんにとって、ボーカル、バンド、ドラム、ギターとセッション形式で演奏をするのは初めてで馴染みがないことでした。

「そのうち、地元や京阪神のバンドメンバーとどんどん繋がり、アドバイスをもらったり演奏を聞いたりして、いつの間にかハマってしまいました」

一番楽しいのはライブをしている時。ヌーピーズを知らない人とライブで出会い、音楽を通して思いを届けることができたときに大きな喜びを感じるといいます。現在は京阪神各地のライブハウスで演奏するほか、地元但馬では演奏だけでなくイベントのホストも務めています。

豊岡市の指定文化財である、明治期から続く芝居小屋「永楽館」を舞台に、出演者、スタッフ、お客様の「人力」で作り上げるミュージックフェス『芝居小屋ジンリキソニック』には実行委員会のコアメンバーとして参加。地元の中高生や若年層に、京阪神のライブハウスで出会えるようなバンドの音楽に触れられる機会や、『この舞台に立ってみたい』って思える場所があったらという思いで企画しました。


(芝居小屋ジンリキソニック 出演・運営メンバーと)

「欲しい場所ややりたい企画は『自分で作れる』ってことを、私たちを通して知ってほしい。これからは同じような企画をする人たちがいっぱい出てきてくれたら楽しいな」

芝居小屋ジンリキソニックの企画運営の経験を買われ、2019年に高校生と香美町の大人で企画した音楽イベント「僕らの武道館フェス」にもアドバイザーとして参加するなど、地域で好きなことを通じて人と人をつなげる動きのバックアップにも回るようになりました。

あるひとつの出会いが芋づる式に面白い人との出会いに繋がり、森田さんは今、音楽や写真など好きなことを一緒に楽しむ仲間や、暮らし方・働き方が面白いと感じる人たちに囲まれて充実した日々を過ごしています。

 

網の目状に楽しい出会いが続く、地方ならではの人とのつながり方

「人とのつながり方が都会と地方はちょっと違います。都会なら放射状、地方なら網の目状」

ジャンルも年齢もカテゴリーを問わずに縦横無尽に人がつながっていくのが、地方ならではの人間関係の面白さだと森田さんは話します。人それぞれに好きなジャンルや表現の仕方があるので、今後はさらに数多くの企画やコミュニティができ、地域の中に楽しみ方の選択肢が増えることを願っています。森田さんの場合は一つの出会いがきっかけに、暮らしがぐんと色鮮やかになりました。その、はじめの「一つの出会い」をこれから見つけたい人はどうしたらいいでしょう。

「年代、住んでる場所、ジャンルを絞らずに活動範囲を広げてみることかもしれません。はじめは浅く広く色んな人と会ってみて、ピンとくる出会いが一つあればその後はあっという間です。WONDER KAMIを読んで、面白い人だなと思ったら会いに行くのもいいと思います!」

好きなことやワクワクすることを暮らしに取り入れるために大切なのが、人とつながること。一歩踏み出してみることで、見える景色が変わるような素敵な出会いがすぐそこに待っています。

森田洋子さんの活動

ヌーピーズ

https://jin84enda.wixsite.com/noopys

https://twitter.com/nooopy5

https://www.facebook.com/wadaisenkou

 

ジンリキソニック

https://jinrikisonic.jimdofree.com/

 

おさんぽカメラ部

https://www.d-tsumugi.biz/photobu/

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