地域のサードプレイスを作り、若い世代の日常をもっと楽しく

香美町若者まちづくり懇話会 正垣亮治郎さん
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香美町のまちづくりに、若い人の声を反映させたいという思いから生まれた会議、「香美町若者まちづくり懇話会」。町内の20代から40代の方を中心とした集まりで、月に一度まちづくりをテーマに意見を出し合い、2年間かけてとりまとめたものを提言書として町に提出しています。現在の具体的な活動内容や「香美町若者まちづくり懇話会」の目指すものなどを、会員の正垣亮治郎さんにお伺いいたしました。

 

地域の方の「ありがとう」が大きな喜びに

正垣さんは香美町の村岡区出身。村岡高等学校を卒業後、県外の大学に進学しましたが、「卒業後は地元香美町で働きたい」と進学時から思いを定め、2017年、香美町役場に就職しました。正垣さんが地元での就職を志したことには、どんな背景があったのでしょうか。

(正垣亮治郎さん)

 

「高校在学中に、吹奏楽部員として地域の施設やマラソン大会等で応援の演奏をする機会が多くありました。地域の方に喜んでいただけたことがうれしく、またこのまちに帰ってきたいと思うようになりました」

高校生として地域と深く関わるうちに地域への愛着が高まるからか、Uターンする同世代も少なくないのだとか。

「同級生も結構帰ってきています。でもその反面、町内に住んでいる知らない同世代の人と知り合う機会はあまりないなと感じます。例えば、ふらっと立ち寄れる居酒屋や、若者が集まる場所があれば、出会う機会も増えるのかなと」

新しい出会いとコミュニケーションの場があればと思っていた正垣さん。それを自分たちの手で作るきっかけとなったのが「香美町若者まちづくり懇話会」でした。

 

「よりみち書房」で「aoite187」を若者のサードプレイスに

(aoite187 外観)

 

「香美町若者まちづくり懇話会」のメンバーは、1~2年ごとに更新されます。これまで「香美町若者まちづくり懇話会」の活動としては、観光マップに載らないようなおすすめスポットをまとめた「香美町ええとこマップ」の作成や、ジオパークの風景と背景を遊びながら学べる「香美ジオかるた」の作成提言などを行ってきました。

「今回の活動で何ができるかと話し合った結果、『サードプレイス』として、自宅でも職場でもない第三の居場所を町内に作れたら良いなと考えました」

ここに来たら人に出会えて、ほっとできる。そんな空間を作りたいという正垣さんたちの拠点の一つが、香美町香住区矢田にあるレンタルスペース「aoite187」です。会議や集まりで使用する他、月一回程度、ブックカフェイベント「よりみち書房」を開催し、地域の方が立ち寄りお茶をしながら読書や懐かしいゲームなどを自由に楽しむ場所を設けています。

(「よりみち書房」開催時の「aoite187」)

ただ場所を提供するだけでなく、興味を持って来てもらえるよう、また共通の趣味を介して新しい出会いが生まれるよう、テーマを決めたイベントも開催。7月には正垣さん自身もメンバーとして所属するバンド仲間を招き、ライブや楽器の演奏体験などを行いました。

「香住高校も近いので、高校生も大歓迎です。村岡高校からは少し距離がありますが、『大人に車を出してもらえるよう頼んでみよう』と思ってもらえるような、魅力ある空間づくりややイベントについて工夫していきたいと思っています」

(「よりみち書房」ではゆったりと過ごす若者たちの姿が)

 

SNSを通じて「よりみち書房」の存在を知り、懐かしい知り合いとの再会や新しい出会いが訪れるなど、「香美町若者まちづくり懇話会」の活動は、徐々に地域に浸透しています。

 

 

「香美町若者まちづくり懇話会」の活動で、香美町に暮らす若者の日常をもっと豊かに

(「aoite187」の向かいには香住高校)

 

「香美町には面白い人がまだまだたくさんいると思います。音楽だけでなく、料理、釣り、アニメなどなんでも……得意なこと、好きなこと、ジャンルごとに集めていったら面白いことができそうだなと感じています。地域で点々と行っている活動もギュッと集めて、その中で知らなかった人と知り合えるなど、そういう出会いの場が提供できたらと思います」

自身が香美町に帰ってくることに迷いがなかったように、若い世代もいい出会いに恵まれることで、自然と帰郷への思いが芽生えるのではないかと語る正垣さん。

(2019年7月に開催された音楽イベントの様子)

「高校の吹奏楽部の活動でもそうでしたが、地域の方が『ありがとう』と言ってくれることが大きな喜びでした。人に喜ばれることはなかなか難しいですが、自分の好きな音楽で人に喜んでもらえたという体験は、生きがいに直結するものだと考えています。学生や若い人も好きなことで人と繋がれたら『自分はこれで良いんだ』と自分を肯定できるし、地域に居場所も感じられるのではないでしょうか」

香美町に住む若い世代が、日常生活への満足度を更にあげていくためのサードプレイス。出会いのある居場所、自己表現の叶う居心地のいい空間づくりに、今後も正垣さんたち「香美町若者まちづくり懇話会」のメンバーは取り組んでいきたいと語っています。。

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