美方大納言小豆×カフェで美味しくたのしい生活発信!

aoite. azuki. base 三浦由紀子さん
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2022年1月、香美町香住区に小豆が主役のカフェ「aoite. azuki. baseアオイテ.アズキ.ベース」がオープンしました。店主の三浦由紀子さんは、香美町の特産である美方大納言小豆の栽培も担いつつ、毎週木、金、土曜日にカフェをオープンしています。前職は香美町役場の職員だったという異色の経歴を持つ三浦さんに、今までのこと、お店のこと、暮らしのことをお伺いしました。

 

「作ってください」から「自分で作ってみよう」へ

(aoite. azuki. base外観)

 

三浦さんが生まれたのは香美町の村岡区。高校までは村岡区で育ち、進学を機に神戸へ。卒業後は「生まれ育ったまちに関わることを」と香美町役場に就職しました。公務員として教育委員会や福祉課など、様々な経験を積んだ三浦さんは、農林水産課に配属され農家の方とやり取りするうちに、「これが一番自分にしっくり来る仕事」と感じたのだといいます。

町内に増え続ける遊休農地や休耕田について、高齢農家さんに「どうか耕作してください」とお願いすることが、当時の三浦さんの仕事の一つでした。「頼んでいる立場だけど、それがどれだけしんどいことか、大変なことかわからなくて心苦しいし、知りたかった。だから自分がちょっとやってみようかな、と」やがて農業を志すようになります。

(三浦由紀子さん)

荒廃した遊休農地を無償で借りられるよう交渉し、女性農業者のグループと共に美方大納言小豆の栽培をスタート。農林水産課に勤めていた経験から、栽培の知識はあったという三浦さんですが、「紙の上では理解していたけれど、実際やってみると想像以上に大変」だったと語ります。そして、「手間がかかっているからこそ、適正な値段をつけてあげたい、高く買い取ってあげられるようなシステムができたらいいな」と実感。その想いから、美方大納言小豆の価値を発信する場として生まれたのが「aoite. azuki. base」です。

地元の美味しい小豆を地元で食べる、等身大のカフェスペースづくり

(2階席からは香住高校のグラウンドが一望できる)

 

香美町で生まれ育った三浦さんも、美方大納言小豆について知ったのは、実は農林水産課に配属されてから。地元の特産品ですが、都会の高級和菓子店に卸されることがほとんどで、地元の人の口に入る機会は少ないものでした。

だからこそ「地元にこんなに美味しい小豆がある」ことを知ってもらえる場になればと一念発起、空き家をリノベーションしてカフェスペースを作りました。

「といっても、ほとんど触っていなくてそのままの形を生かしています。地元の若い大工さんのお陰で、限られた費用で心地よい空間を作ってもらえました」

(店内。以前の記事「香美町若者懇話会」の拠点として利用されていたことも)

 

兵庫県の「女性起業家支援事業」の補助金申請のためプレゼンテーションを行った際も「緊張したけど、それもまた楽しかった。なんでも楽しめるんです」と、前向きに、かつ背伸びしないスタイルでオープンに向けて取り組んでいきました。

オープン後は地元の高齢者の方の憩いの場になったり、インターネットや新聞で知って来た町外・県外の方が足を伸ばしたりと、とても幅広い層のお客様に親しまれています。

 

「aoite. azuki. base」が提案する、まちのライフスタイル

(あんバタートースト 税込み500円/アイスコーヒー 税込み400円)

オープン当初から人気が高いのが「あんバタートースト」。塩気のあるバターと、ほっこり甘いあんこが絶妙のバランスで、サクふわに焼き上げられたトーストとのバランスも最高です。

あんこの炊き方は知り合いのおじいちゃん直伝。あんバタートーストに添えられているつぶあんは、美方大納言小豆の大粒で食べごたえのある粒感を残し、甘さも上品で素材の味を感じることができます。

(あっさりした甘みのさっくり食感スコーンも、あんこと好相性 /スコーン(あんバター添え)税込み500円)

 

(白玉とジャージー牛乳アイスとあんこを口いっぱいに頬張る、美方冷やしぜんざい 税込み700円)

 

おはぎやかき氷など、あんこを使ったメニューがたくさん、季節に合わせたメニューも続々追加。今後は小豆以外にも地元産のものを新しい形で発信して行けたらと、新メニューの提供も考えているのだとか。今後の展望が膨らむ「aoite. azuki. base」ですが、実は三浦さんにはこんな思いも。

「高校がすぐ近くにあるので、高校生が集まってくれるような場所にもなれたらいいな。私自身、高校の帰り道に寄り道したのがとてもいい思い出なので。『たい焼き食べたな』って思い出に残る場所になって、私も地元名物のおばちゃんみたいになれたら、もう最高だなって」

価値ある地元の特産品を、もっと身近に発信するために。そして、地元の素敵な思い出に残る場所であるために。三浦さんは栽培から提供まですべてを担いながら、地域に新しいライフスタイルを提案し続けています。

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