香美町を離れた今だからこそ、地域のためにできることを

こねかみ2期生
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香美町で生まれ育った若者たちの多くは、高校卒業後に就職や進学のため一度故郷を離れます。生まれてはじめて町外で暮らすそのとき、彼らは何を思うのでしょう。今回オンライン取材をしたのは「こねかみ(Connect Kamiの略)」の皆さん。こねかみは現在5名の香美町出身の大学生で構成され、一度香美町を離れた立場から改めて香美町の魅力に目を向け、帰ることが出来る場所、住み続けられるまちを自分たちの手でつくっていくための活動を行っています。

 

こねかみ2期生メンバー。代表・今西大空いまにしそらさん(上左・香住区出身)、井端実優いばたみゆさん(上右・村岡区出身)、坂本舜さかもとしゅんさん(中左・小代区出身) 小林笑果こばやしえみかさん(中右・小代区出身)、水田嶺央みずたれおさん(下・村岡区出身)

こねかみの始まり

 

こねかみのはじまりは2017年、大学生(当時)5名で結成されました。大学進学を機に初めて香美町を離れ様々な経験を積むうちに、香美町の可能性や魅力、課題を客観的に捉え直すことができ、「今の自分達だからこそ地元のためにできることはないか」と考えたのが結成のきっかけでした。

 

こねかみ代表・今西さんの香美町おすすめスポット「今子浦」の夕日。「日本の夕陽百選」として認定され、ドライブがてらや学校帰りに見ると美しさに圧倒される。今西さんにとっては「故郷に帰ってきた」と実感する風景。

 

1期生は、香美町を散策して今まで気づけなかった地域の魅力を探る「かみさんぽ」、地域課題についてディスカッションをする「香美超会議」などの活動を通して、主に地元の高校生とともに地域の可能性を見出してきました。1期生が大学を卒業する時、「この活動を絶やしたくない、受け継いで続けてほしい」との思いから現メンバーの5名に白羽の矢が立ちました。

 

香美町は、2005年に城崎郡香住町、美方郡村岡町・美方町(現在の小代区にあたる)の3町が合併して生まれました。合併してからもどこか香住・村岡・小代の間に見えない壁のようなものが感じられるそうで、こねかみは、「香美町をもっと狭く」をモットーに、3地域の境目や世代の境目を越えて、若者からまちをつなぐための活動を行っています。その背景もあり、1期生も2期生も、出身地域は香住区、村岡区、小代区と分かれたメンバー構成。2期生の5人は、「小学校から知っていた」「同じ高校で仲が良かった」というケースもあれば、「こねかみを通して初めて知り合えた」というケースもあり、様々です。5人の共通点は、「今は地元から離れているけれど、何らかの形で地元とつながっていたい」と感じていることでした。

坂本さんの香美町おすすめスポット「うへ山の棚田」。「日本の棚田100選」に選ばれた見た目の美しさはもちろん、「俺たちの武勇田」メンバーを始めとした人の思いと努力があって保全されているというストーリーも魅力。

こねかみの、最近の活動

 

2期生は遠方のメンバーもいることや、新型コロナウイルスの影響もあり、主にオンラインでの活動を行っています。毎週水曜日はZOOMを利用したオンラインミーティングを行い、お互いの近況報告を兼ねて次回のイベントの企画発案を行います。

「かみトーーク!」第2回イベント写真

2020年の夏にはZOOMを利用したトークイベントを2回開催。「くらしを聞く」でも取り上げた「スミノヤゲストハウス」の田尻茜さん、「JINENAN(じねんあん)」の岸本元気さん・葉子さんご夫妻をゲストに迎えた、お話を聞いたり質問したりの双方向コミュニケーションイベントです。

井端さんの香美町おすすめスポット「御殿山公園」の桜。村岡高校バレーボール部のお花見はここが定番。山名氏の陣屋跡、歴代藩主の墓所などが整備され、幕末に建てられた奥方部屋も現存。井端さんにとって思い出深い場所でもあり、混雑もなく美しい桜が楽しめるのもおすすめポイント。

 

かみトーーク!のゲストは、香住区、村岡区、小代区それぞれで活躍しているかっこいい大人たち。大学生目線で見た、香美町での興味深い暮らし方をしている人を中心に、SNSの情報発信内容もチェックし、現在次回のゲストについて5人で話し合っているところです。

水田さんの香美町おすすめスポット「ハチ北スキー場からの風景」。幼い頃からスキーに親しんで育ってきた水田さん。スキー自体が楽しいのはもちろん、山の頂上から見える香美町の山々や集落も情緒がある。

 

また、定期的に発信されるブログも必見です。「好きな場所」「興味があること」「Uターンについて」など、メンバーが常に考えていることをテーマに、5人が持ち回りで思いを綴ります。それぞれ等身大の気持ちが率直に表現され、興味深く読むことができるブログは、こねかみメンバーをぐっと身近に感じることができます。

 

小林さんの香美町おすすめスポット「八幡山公園」。1992(平成 4)年「国際彫刻シンポジウム」で世界6カ国、12名の彫刻家が地元(福岡)の笠波石を使って彫刻作品を作成した。小林さんを含め村岡高校の地域創造系57期生は、シンポジウムに 関わった彫刻家の方に手紙を書き、この公園のガイドマップを作り地元への啓発活動を行っていた。

地域のイベントで感じた、人との絆

進学を機に故郷を離れると、新しい生活が最優先となり、地元から気持ちも離れてしまうケースも多い中、なぜこねかみメンバーは「地元とつながっていたい」と思うのでしょうか。その背景には、地域の大人たちと密に関わりながら育ってきた、香美町で育んだ人との絆があるようです。

 

特に、坂本さん、小林さん、水田さん、井端さんが揃って印象に残っていると話すのが、みかた残酷マラソン全国大会。小代区の一大イベントで、小代中学校と村岡高校の生徒全員がスタッフとして参加します。小代区の人口およそ2000人に対し、集まるランナーはおよそ3000人。この数字からも、この場所が必要とされていると感じたといいます。

 

地元のイベントに関わるのを億劫に感じているような同級生が、いざ当日になると一生懸命水を配ったりランナーに声をかけたりしている姿だったり、村岡の吹奏楽団体に入り音楽でランナーにエールを送ったり、街全体がランナーを応援している姿に感動し、心動く瞬間が多くありました。

 

こねかみメンバーと、香美町のこれから

 

香美町を離れて数年。こねかみメンバーは今後、自分の人生と香美町の関わりをどう考えているのでしょうか。

 

「大学で、都市部で育ってきた人とも話していると、人口が少ない環境で育ってきた自分たちだからこその強みがあると感じているので、その話ができるよう、今後はより深く地元のことを知っていきたいと思っています」(今西さん)

 

「まずは自分の力を別の場所で試してみたいと思っています。40代、50代で一区切りついたら、香美町で働いてみたいと考えています」(水田さん)

 

「香美町には『会いたい!』と思う人がたくさんいます。これからたくさんの出会いを経験して、たくさんのことを学んで、香美町に帰ってきたいと思っています。いつ帰っても『おかえり』と言ってもらえる香美町が大好きです!」(井端さん)

 

「とにかく地元が大好き。大学卒業後は自分の好きなことができる場所で好きなことをやって、それを地元に持ち帰れたら理想的だなと思っています。一度香美町を出た今なら前の自分より地元を楽しめる自信があり、もっと地元を楽しみたいという気持ちは強いです」(小林さん)

 

「大阪に住んでみてとても便利だと感じるのですが、香美町は自然が豊かで魅力的なスポットもあるし、なにより人も優しく繋がりが強いので、帰ってこれたらなと思っています」(坂本さん)

 

外の地域で様々な経験を積みながらも、今後も何らかの形で地元とつながっていたいと感じている5人。今後も多彩なイベントを企画しつつ、自分たちが1期生から引き継いだように、次の世代のことも見越しながら活動していきたいと話しています。

 

「こねかみに参加してみたい、香美町を離れても香美町とつながっていたい」と思った方はメールやこねかみSNSにてお問い合わせください。

 

取材もZOOMで行いました

 

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