子ども本来の能力を引き出す活動「森のようちえん」

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全国にも誇れる豊かな自然のある香美町。「自然の多い環境で子育てをしたい」「子どもに自然と触れ合わせてあげたい」と思っていても、どのように子どもと自然との接点を持てばいいのかというのは悩みどころです。

香美町小代区にある尼崎市立美方高原自然の家「とちのき村」では、子どもと親とがともに豊かな自然を楽しむイベント「みかたの森のようちえん」が行われています。2011年4月に開園、3歳児から就学前の親子を対象に、自然の中で季節に応じた多彩な活動を行ってきました。

写真は2018年3月に行われた「みかたの森のようちえん」雪遊びプログラムの様子です。


受付を済ませた子どもたちは、道具を手に屋根のある炊事場へ。はじめの会では、指導者からの、森の様子や森で暮らす生き物にまつわる絵本の読み聞かせもあります。


午前中は、親子で雪遊び。親子でそり遊びをしたり雪だるまをつくったり。また、子どもたちがめいめいに自分の創造性を発揮して作品づくりや、そり遊びなどを楽しむ横で、大人の雪遊び「雪のテーブル」作りが始まるという場面も。

雪のテーブルを囲んで、お昼ご飯を食べた後は、


大人と子どもが分かれて活動をします。大人同士でのコミュニケーションの時間でもあり、子どもにとっては自分たちの力だけで冒険を楽しむ時間でもあります。


つららを発見し、自分の手で取ってみたり…


温かい飲み物を飲んで、絵本の読み聞かせを楽しんだり、


沢まで下りて、またそこから自分の力で這い上がってきたり、子どもたち自身の可能性を広げる挑戦が、自然の中にはたくさんあります。


冒険の後は、暖かい焚火に当たりながら、マシュマロをあぶって食べるというおやつタイム。一日たっぷり遊び、おわりの会を行って解散しました。

普段の子育ての現場ではなかなか経験できない、チャレンジフルなプログラム。森のようちえんで子どもたち、そして関わる大人たちはどんな学びを得ているのでしょう。美方高原自然の家の田中誉人所長にお話を伺いました。

香美町小代区で生まれ、ご自身も山の中を走り回って育ったという田中所長。ネイチャーゲーム、ツリーイングなど、様々な体験型環境教育事業を行う傍ら、野外での指導技術、リスクマネジメント等「森のようちえん」に関わる指導者養成にも尽力されています。

「3-4才のうちから自然の中で遊ぶことで、自分の体を認識し、空間を認識する力が育ちます。親から離れ、子どもたちだけで森の中に入った時、子ども本来が持つ人間としての力が発揮されるのです」
年長の子どもが年少の子どもの手をひいて斜面を登る。自然の中の困難な状況に、力を合わせて自分たちの力で挑もうとする。身近にある自然や季節との付き合い方を肌で感じて学ぶ。室内中心の環境では学びきれない、自立や共生を促す土台となる学びが、確実に培われていきます。


また、基本的な体作りには、山の斜面での活動が大きく寄与します。
「建物や道路などは基本的に平面で、足の前面の筋肉が育ちにくい環境です。初めて森のようちえんの活動に参加する子どもたちは、山の斜面を登るのに大変苦労します。ですが、経験を重ねることで、斜面を満面の笑みで、全速力で駆け下りてくるようになります。様々なスポーツの技術は後からでも身に着けられますが、3-4歳のうちにその元となる素養を身に着けることで、基礎に裏打ちされた運動能力を育てることもできます」


みかたの森のようちえんのプログラムでは、子どもたちが自分の手足を使って斜面を登ったり、バランスを取って穴の中を覗いたり、火を使ったりと多くのチャレンジがあります。安全面はどのように考えられているのでしょうか。

「大切なのは『見守ること』です。見守れば、子どもの限界が見えてきます。子どもたちはトライをしながら自信をつけていきますが、度を超すと危険になるので、見極めがとても重要です。例えば蜂の巣がある場合、あらかじめ取り除くのではなく、『あそこに蜂の巣があるね、どうしたらいいかな』と、子どもと共に考える機会を作ります。そのため運営者側には、何が起きうるかという想定とシミュレーションを前もって行っておき、危険なものを見抜く力、場を守る力が重要になります。」
チャレンジをしながら小さなけがをすること、服が汚れてしまうこと等についても、保護者と指導者という大人同士の共通理解が重要です。枠を広げながら、小さな痛みを感じることで、子ども自身の危険への認識も高まります。非日常の空間の中で、今までできなかった新たな挑戦に触れる子どもたちに、保護者からも「この子にこんな力があったんだ」と嬉しい発見の声が聞かれるそうです。


2018年度からは、活動頻度を月2回に増やし、拠点を都市部からのアクセスのがよい小代区の中心部に移転。「みかたの森のようちえん」は、宿泊施設の裏山を拠点とした、宿泊型のイベントとして新しいスタートを切ります。より参加しやすく、子どもたちの生活リズムに合わせた活動になりますので、ご興味のある方は下記までお問い合わせください。

とちのき村
〒667-1532
兵庫県美方郡香美町小代区新屋1432-35
公益財団法人日本アウトワード・バウンド協会
尼崎市立美方高原自然の家
電話:0796-97-3600
http://www.obs-mikata.org/

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