「これぞ村岡の味」まろやかで優しい矢田川みそで届ける心豊かなくらし

むらおか夢アグリ 今井裕子いまいゆうこさん
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日本の伝統ある発酵調味料、味噌。かつての日本では、どこの家庭でも味噌は手作りの「手前味噌」、伝統的な家庭の味、地域の味がありました。村岡区の道の駅「あゆの里矢田川」でもお土産として好評の「矢田川みそ」もまた、香美町を代表する美味しい味噌の一つです。

今回お邪魔したのは「矢田川みそ」の生産・販売を行う農業法人「むらおか夢アグリ」。作業場に一歩足を踏み入れた瞬間、大豆と麹の甘く濃厚な匂いに包まれます。

農家の冬仕事ともいわれる味噌づくり。むらおか夢アグリでも農閑期である12月から3月を味噌づくりの期間に当てています。息の合った作業の合間にユニークな掛け声が飛び交い、味噌づくりの現場は終始和気あいあいとした雰囲気です。

 

ふるさとの味「矢田川みそ」再生のストーリー

 

むらおか夢アグリの設立は、令和元年9月。農業者の高齢化により増えている荒廃農地の復活・再生なども行う建設工事会社「村岡アグリファーム」の子会社・農業法人として生まれました。春から秋は再生した田畑の手入れ、冬は味噌づくりという、昔ながらの雪国の農家さんのような暮らしを体現しています。

矢田川みそが生まれたのは20年以上前にさかのぼります。道の駅あゆの里矢田川がオープンした平成11年、「地域の産品を生かした特産物を」と地元射添いそう地区の婦人会が中心になり「野いちごグループ」を結成、レシピ開発をしたのが始まりです。

 

矢田川みその材料は地場産大豆、地元のコシヒカリを使って手作りした米麹、塩のみ。まろやかで甘味がある優しい味が特徴で、兵庫県が認める安心・安全の証「ひょうご推奨ブランド」にも選ばれています。地元の人からも観光客からも人気が高く、道の駅でも土産物や贈り物に好評を博した矢田川みそですが、生産者の高齢化などにより、平成28年を最後に生産中止となりました。

 

矢田川みその在庫が尽きてからも、販売中止を惜しむ愛好者たちの声が多く寄せられ、道の駅を運営する地域住民グループ「大平おおなる会」のメンバーたちは、「お客様の声になんとか答えられないか」と一念発起。新たに地元の女性たちを集めて野いちごグループの元メンバーに教えを請い、直伝のレシピで矢田川みそを復活させました。復活した矢田川みそは愛好者からも「変わらぬ味」と太鼓判を押され、ふたたび道の駅の看板商品になりました。その大平おおなる会の代表者が村岡アグリファームの代表でもある仲村正彦さんです。


(「むらおか夢アグリ」の皆さん。旗を持っているのが仲村さん)

「みんなに愛され続ける矢田川みそを安定して提供できるように」という思いから、仲村さんは子会社むらおか夢アグリを設立。令和元年の冬からは大平会直伝のレシピでむらおか夢アグリのみなさんが味噌づくりを受け継いでいます。味噌の熟成には約一年かかるため、令和2年の後半からむらおか夢アグリの味噌が市場に出回り、これもまた矢田川みそならではの甘くまろやかな味がそのまま受け継がれていると大好評です。


(パッケージは一新、中身は伝統の味をそのままに)

「ここなら楽しく働ける」人とつながり生きがいを感じる現場として

「ここ(村岡)には、山もあり、川もあり、自然の豊かな恵みがあります。おいしい食べ物がたくさんある、とてもいいところです。ここだったら元気で働けるという人もいると思うし、ここの良さを伝えていきたい」と語る仲村さん。荒廃農地の再生を通して、若い人も働きやすい場所として、地域を押し出せたらとも考えています。矢田川みその後継をきっかけに子会社のむらおか夢アグリを立ち上げる際、「リーダーシップと行動力がある素晴らしい人」とかねてより評していた地域の女性・今井裕子さんをその代表の座に据えました。


(むらおか夢アグリ 代表 今井裕子さん)

「まさか自分が創業・起業に関わると思っていなかったので驚きました」と話す今井さん。戸惑いもたくさんあったそうですが、荒廃農地を再生して地域を活性化したいという仲村さんの志にも共感し、この地で愛されてきた矢田川みそを多くの人に届けたいと奮闘しています。

 

「矢田川みその原料は自分たちで作りたいと、去年(令和2年)初めて会社で農業をはじめました。私も従業員も農業の専門家ではないので地域の人や県の農業改良普及センターの方に教えていただきながら技術を少しずつ身につけています。今後少しずつ圃場ほじょうも広げながら、挑戦も広げていきたいと思います」


(米麹づくりが今井さんの一番好きな行程)

 

従業員は気心の知れた地元のメンバーばかりで、何気ない会話に笑顔がこぼれる温かい雰囲気。「この会社を設立したのは、地域の人や退職した人がもう一度現役で働ける場を作りたいという思いもありました。70代の方も、『元気がもらえるから』とみなさん喜んで来てくださるのでありがたいです」。

 

地域で楽しく働いてもらうために大切にしているのはコミュニケーション。お昼ごはんは持ち回りで昼食当番さんが作り、従業員みんなで食卓を囲みます。朝礼、お昼ごはん、終礼で必ず顔を合わせるという距離感が、良い雰囲気に繋がっています。

(昼食の様子)

 

今後の目標は、かつて野いちごグループが作っていたという最大10トンのみその生産。「手作りの限界に挑戦する気持ちです。楽しく働ける現場なので、これから味噌づくりに関わる仲間たちもどんどん増やしていきたいですね」と今井さんは笑顔を見せます。手作りならではのまろやかさが多くの人に愛される矢田川みそ。「これぞ村岡の味」とより多くの人に親しんでもらえるよう、今井さんとむらおか夢アグリの皆さんは目標に向かって突き進んでいきます。

 

むらおか夢アグリ 

所在地:〒667-1362 美方郡香美町村岡区原14-3

TEL 0796-80-2154

FAX 0796-80-2242

営業時間 平日 8:00~17:00

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