創業から295年 手間暇かけた、伝統の製法で酒造りをする全国でも希少な酒蔵

醸造スタッフ

香住鶴 株式会社

香住鶴 株式会社は江戸中期・享保十年(1725年)に創業した酒蔵です。同じ江戸時代中期に確立した酒造りの技法「生酛(きもと)造り」を今も受け継ぎ、全量を「生酛造り」、「山廃仕込み」で醸造しています。手間と時間のかかるこの製法で酒造りをする酒蔵は全国でもごくわずかと言われています。

 

(香住鶴の酒蔵に隣接する直営店「福智屋」)

 

1、ABOUT 香住鶴 株式会社
地元で愛される但馬の酒としてブランド醸成し、全国・世界へ広がることを目指す。

(香住鶴 株式会社 専務取締役 福本和広さん(左)、醸造部課長 松本敬久さん(右))

 

香住鶴 株式会社、専務取締役の福本和広さんにお話を伺いました。

 

事業内容についてお聞かせください。

但馬杜氏の里であるこの地で、但馬流の技術と伝統を受け継ぎながら、日本酒、リキュール、梅酒などの製造販売を行っています。

 

業務内容や職場について教えてください。

業務は大きく分けて、醸造(酒造り)、製造(瓶詰め)、販売、営業です。従業員は現在36名で、醸造と営業は男性中心、製造や販売は女性が多く働いています。

 

酒造りの特長を教えてください。

当社は昔ながらの生酛(きもと)造り・山廃(やまはい)仕込みという、手間をかけた酒造りをしています。酒造りを行う蔵は全国に800程度ありますが、その中で全量を生酛・山廃造りで仕込む蔵は、当社などわずか数蔵しかなく、全国的にも非常に稀な蔵元です。

生酛・山廃造りでは、お酒の酛となる酒母を手作業で造ります。天然の微生物や乳酸菌など自然の力を活かしてお米の旨みをじっくりと引き出すため、手間と時間はかかりますが、奥行きがありふくよかな味わいのお酒に仕上がります。この深みのある味わいが当社のお酒の特長です。

(生酛づくりの作業「湧付き」)

 

将来的な目標やチャレンジはありますか。

現在、当社のお酒の6~7割は兵庫県内で消費されています。とくに但馬地域ではほとんどの酒屋や酒類を扱う店舗に当社の商品を取り扱って頂いています。だからこそ、より一層地元に愛されるお酒になりたいと思っています。地元の方に飲んで頂き、美味しいと評価されることで、外に広がり、全国ブランドになる。そういう流れや、香住鶴のブランド価値を育んでいくことに力を入れています。そしてその先に、世界に広げていくことも考えています。

 

2、仕事内容
酒造りは、微生物という生き物を相手にする根気と愛情のいる仕事。

(麹づくりの作業「出麹」)

 

募集職種とそのお仕事について教えてください。

募集するのは、醸造の仕事です。

醸造は、酒造りに関わる全般の仕事をします。米を洗って蒸し、麹をつくって、醪(もろみ)を仕込んで、酒を搾り、搾った酒を加熱殺菌するところまでが醸造の仕事です。酒造りは秋から春にかけての仕事ですが、社員として勤務し、9月から4月末ころまでは酒造りをして、5月から9月中旬ころまでは酒米づくりに携わって頂きます。

 

このお仕事の魅力と大変なところを教えてください。

酒造りは、生き物(微生物)を扱うので、毎日気が抜けず緊張の連続です。気温や天候の変動によって発酵の状態が常に変化する中で、これまでの分析数値と照らし合わせながら、目指す味わいに近づける。それこそ、ものによっては数時間置きに確認して修正をしていきます。しかも、そのときの数値や状態だけを見ればいいのではなく、12時間前、1日前、2日前など、前の工程の状態を含めて連続的に経過を観察して判断するため、途中で誰かと交代することができず、一連の流れを同じ蔵人が担当しなければなりません。そのため、酒造りの期間、醸造担当は、朝5時から夕方5時までの勤務というハードワークになります。ですがその分、出来上がったお酒を美味しいとお客様が飲んでくださることにやりがいを感じます。

 

新人の方は、どのくらいで仕事を覚えることができますか。

酒造り関しては、業務の流れを覚えるのに大体1年くらい必要です。「10年携わって、酒造りの全般がひととおり自分でできるようになる」とも言われていますが、生き物が相手なので、前回と同じようにやっても同じようにならないという、奥の深い世界です。

 

酒米づくりについて教えてください。

酒米は、兵庫北錦という品種の酒米を4反ほどつくっています。当社の使う酒造用米のほんの一部ですが、直営店で販売する限定のお酒用に醸造担当者が農作業をしています。米作りも自然相手の仕事なので大変な作業ですが、それでも酒造りほど長時間勤務にはならないため、この酒米づくりの期間に休みを多めにとってリフレッシュするような体制にしています。

 

どんな人に働いてほしいですか。

お酒が好きな人に働いてほしいです。酒造りの期間は、長時間の勤務や休みが少ないなど体力的にも精神的にも、しんどいと感じる場合があると思います。ですので、やっぱりお酒が好きな人、美味しいお酒を造りたい人が、この仕事を続けられるのだと思います。

 

3、先輩インタビュー
緊張の連続、体力勝負。でも、「美味しい」の一言に喜びとやりがいがある。

勤続18年の、醸造部課長 松本敬久さんに話を聞きました。

 

どんな職場でどんな仕事を担当されていますか。

醸造に関わるのは20代後半~40代後半まで8名で全員男性です。仕事は工程ごとの分業制で、原料処理、製麹、酒母、醪、上槽に分かれていて、わたしは酒母をつくる担当です。

 

この会社に入社された経緯を教えてください。

入社したのは今から18年前です。前職は酒造りとは全く違う業種で、大阪から香美町に移住して当社に転職しました。子供のころからずっと大阪に住んでいたのですが、親の地元が豊岡で但馬地域には馴染みがあり、来るたびに田舎暮らしも良いなと感じていました。

それに、学生の時に実は当社から内定をもらっていて…。その時は、他社に就職したのですが、転職する際に、今の社長に声をかけていただいたのです。内定を辞退してから2年半も経つのに、社長が当時の私の履歴書を持っていて、わたしのことを覚えていてくれたんですよね…。とてもうれしかったです。

入社してから4~5年は製造部で瓶詰めを担当していました。その後、酒造りの勉強をしたい思いを伝えて醸造担当に異動して14年ほどになります。

 

長く後輩の方々を見てきて、新人の方が戸惑いそうなことは何ですか。

酒造りの期間は、休みが少ないことです。朝5時~夕方5時までの勤務に、週に1回程度の泊まり込みもあります。体力的にも大変ですし、ストレスがたまってしまう。わたしの場合は、美味しいお酒を飲むことでストレス発散をしていましたけど。(笑)

昔は食事もお風呂も共同で、それこそ杜氏を中心に蔵人全員が寝食を共にして酒造りをしていましたが、今は、長時間勤務ではあるものの仕事のオンオフの切り替えができるように夕方5時で業務を終了して、蔵人それぞれがプライベートの時間を過ごせるようになっています。

 

仕事をする上で大変なことはありますか。

わたしが担当する酒母づくりは、お酒造りの土台となる部分です。当社は全て生酛系酒母でお酒を造るのですが、これは天然の微生物や乳酸菌などの力で酒母づくりをするため、非常に手間暇がかかります。

室内の環境管理に気を使い、毎日、酒母の香りや見た目の状態を確認し、これまでの分析数値と比較して…と、五感と数値の両方から観察と調整を繰り返し、理想とする仕上がりから外れないようにします。生き物だけに、一瞬にして状態が変化する場合もあるので、温度が上がり過ぎてしまわないか、発酵が進みすぎてしまわないかなど、常に緊張が続きます。

 

仕事をする中での喜びややりがいを感じることは何ですか。

日本酒は人の手が関わる部分が多く、造り手の経験や技術でお酒の味が決まります。当社のお酒は複雑で濃淳な味わいが特長で、その味わいを求めて、わざわざ遠方からも直営店にお越しくださいます。他にはない魅力を感じて香住鶴を選んでくださることは、造り手として何よりもうれしく、ありがたいことです。

 

最後に、今後一緒に働く人へのメッセージはありますか。

当社の醸造担当の平均年齢は35歳前後と比較的若いのですが、酒造り業界全体では高齢化が進み若い人が少ないのが現状です。若い世代がもっと酒造りに関わることで、日本酒離れを防いで、幅広い年齢層に飲んでもらえるようにしたいと考えています。ぜひ一緒に日本酒を広めていってほしいです。

(香住鶴の商品、年間で約150商品を製造している)

 

 

 

 

参考資料

募集概要

  • 企業名
    香住鶴 株式会社
  • 募集職種
    醸造スタッフ
  • 雇用形態
    正社員
  • 給与
    月給(基本給大卒/200,000円)
  • 勤務地
    兵庫県美方郡香美町香住区小原600-2
  • 勤務時間
    8時30分から17時15分(醸造期間:5時30分から17時、実働7時間45分)
  • 仕事内容
    醸造:米、米麹、水、アルコールなどの原料による発酵・濾過その他醸造に伴う諸作業に従事していただきます。
  • 待遇・福利厚生
    雇用、労災、健康、厚生、退職金制度
  • 休日休暇
    年96日 (1年変形労働制採用)
  • 必要な資格・経歴・学歴
    無し
  • 求める人物像
    何事にも意欲的であり、機械に強く、物作りに関心のある方
  • その他特記事項
    車での通勤となります。
  • 事務所・所在地
    兵庫県美方郡香美町香住区小原600-2
  • 事業所HPなど
  • 募集期間
    随時
  • 採用予定人数
    1人
  • 選考プロセス
    連絡(TEL、Mail)のうえ、履歴書をお願いします。
  • 求人に関する問い合せ先
    総務部 山根 勉 TEL0796-36-0029
     E-Mail kasumi@mail.fukuchiya.co.jp
  • 情報掲載日
    2020-07-01
  • 最終情報更新日
    2023-08-15

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