どの季節にもある、香住の魅力に触れられる場所に

どの季節にもある、香住の魅力に触れられる場所に

 

香住浜海水浴場近くにある、アメリカのポートランドのような空間、「KAN=ICHI」。お土産にも最適なライフスタイルショップと、新鮮な香美町の味覚を味わえるレストランスペースは、いつも観光のお客さまで賑わっています。「KAN=ICHI」を立ち上げた香住出身の松下弘行さんに、海と暮らす香住の魅力をお伺いしました。

観光の仕事を手伝ってきた子ども時代を経て

松下さんのお祖父さんの代までは、家業は農業中心でした。時代の流れと共に観光業にシフト、お父様が海の家と民宿を開設。松下さんは、海と共に観光の仕事に励むご両親の姿を間近に見て育ち、子どものころからお仕事のお手伝いをしてきたと言います。
「お友達は休みの日にいろんなところに行っているのに、私だけは海の家のボート番。他の子のように遊べないというコンプレックスは常にありました」

(KAN=ICHI ライフスタイルショップ)

高校卒業後、外の世界を見てみたいと、松下さんは旅に出ました。沖縄で3か月間、アルバイトをしながら暮らしたり、高校時代から好きだった波乗りの仲間たちと四国や九州を旅行したり。旅の経験を経て、松下さんは一つの気付きを得ました。
「様々なお店に行き、それまでになかった発想が出てきました。お店という箱があればいいのではなく、デザインが本当に大切だと知りました」
(さだ助 外観)
先代から受け継いだ旅館「さだ助」の建て替えを、30歳の時におこないました。昔ながらの、ふすま一枚で仕切られていた客室や、フロントのない会計スタイルから、プライバシーが保護されるよう客室をトイレ付にし、従業員もおそろいの作務衣を着せるなど、当時の香住の観光としては最先端の試みでした。
(さだ助 フロント)
(さだ助 大浴場)

「KAN=ICHI」で新たな挑戦を広げる

旅館の経営だけでなく、レストラン・ライフスタイルショップをオープンしたのは、より多くの人に気軽に香住に来てもらうためでした。「それまでは日帰りで、香住の美味しいものを食べられる場所が少なかった。お客さまが来られた時に、案内できるような場所になれば」。お客さまに新鮮な海の幸を提供するため、店主の松下さん自ら早朝競りに出ます。それらをすべて「KAN=ICHI」にてお刺身や干物、魚料理として、安心安全に加工しています。「新鮮な『ほんまもん』の海の幸だからこそ、ストレートに、豪快にシンプルに召し上がっていただきたいです。島国日本人として魚介の美味しさを知り、もっと親しんでいただけたら」と、香住の魅力を伝えることに、松下さんは熱意を見せます。
(干物の加工場にて 松下弘行さん)

香住と言えば、カニというイメージが強く、4月からは観光客が減ってしまいます。でも実は、4月以降も香住には様々な自然の恵み、味覚があります。4月からはのどぐろ、6月からは活イカ、夏の岩ガキも絶品で、岩ガキ漁の様子は「KAN=ICHI」からも見ることができます。「冬だけでない、春から秋の香住の魅力を多くの人にぜひ知ってもらいたい」という思いで、様々な発想を形にしている松下さん。
缶詰作り、干物作りの体験や、地引網を引く体験は、観光客だけでなく、地元の小学校や商工会等の団体にも利用してもらえたらと考えています。また、2018年初夏からは自然環境の中でホテルのような快適なサービスが受けられる、新しいキャンプスタイルとして注目されている「グランピング」も開始予定。より多くの人に香住に訪れてもらうために日々アイディアを形にしていきます。
「同じようなお店をするなら、都会の方が経営的には楽ですが、そうしたら香住に来てもらえなくなる。ここが、香住に来る目的の一つになってもらえたらうれしい」
近隣市外からも気軽に来てもらえるスペースになればという思いが「KAN=ICHI」に込められています。
(朝とれ魚魚魚(ギョギョギョ)ランチ。新鮮な魚介のお造りがメイン)
(旬の魚介の干物をメインにしたランチも女性に人気)

香住の一番の「課題」に向き合うために

「KAN=ICHI」と「さだ助」両方の経営に携わり、日々大忙しの松下さんですが、それだけではなく代々受け継いできた農業にも携わっています。「日本人の丹精込めてものづくりをするという気持ちの基本にあるものは、やはり農業だと思っています。心の中にあるものづくりの気持ちを大切にするために、農業は続けていきたい」。自家製のお米は都度都度精米され「KAN=ICHI」や「さだ助」で提供され、お客さまにも好評です。
松下さんが香住に人を呼ぶために頑張る、その原動力は何でしょうか。
「海は見ているだけで心が穏やかになり、日々表情が違うという魅力があります。灯台から見える漁火など、魅力的な風景も、美味しい食べ物もたくさんあります。従業員にはよく、自分のゲストを招くつもりでお客様と接してほしいと伝えていますし、そのために研修や地元の魅力を知る機会も設けています」


その一方で課題に感じていることは、人手不足。「特に25歳くらいまでの女性は少なく感じています。求人を出してもあまり来られないので、若い方が香美町に増えて、観光を盛り上げてくれたらと願っています」。香美町にある若い力を、人を呼ぶ力に変えていけるためできることを探る松下さん。ほんまもんの魅力を知り、外に伝えていける力を求めています。

KAN-ICHI

〒669-6546
兵庫県美方郡香美町香住区七日市308
TEL.0796-39-1147
FAX.0796-39-1047
E-mail kanichi@dolphin.ocn.ne.jp

営業時間
レストラン
ランチ 11:00~14:30
ディナー 17:30~21:00 ※要予約
ライフスタイルショップ
9:00~17:00

子ども本来の能力を引き出す活動「森のようちえん」

子ども本来の能力を引き出す活動「森のようちえん」

全国にも誇れる豊かな自然のある香美町。「自然の多い環境で子育てをしたい」「子どもに自然と触れ合わせてあげたい」と思っていても、どのように子どもと自然との接点を持てばいいのかというのは悩みどころです。

香美町小代区にある尼崎市立美方高原自然の家「とちのき村」では、子どもと親とがともに豊かな自然を楽しむイベント「みかたの森のようちえん」が行われています。2011年4月に開園、3歳児から就学前の親子を対象に、自然の中で季節に応じた多彩な活動を行ってきました。

写真は2018年3月に行われた「みかたの森のようちえん」雪遊びプログラムの様子です。


受付を済ませた子どもたちは、道具を手に屋根のある炊事場へ。はじめの会では、指導者からの、森の様子や森で暮らす生き物にまつわる絵本の読み聞かせもあります。


午前中は、親子で雪遊び。親子でそり遊びをしたり雪だるまをつくったり。また、子どもたちがめいめいに自分の創造性を発揮して作品づくりや、そり遊びなどを楽しむ横で、大人の雪遊び「雪のテーブル」作りが始まるという場面も。

雪のテーブルを囲んで、お昼ご飯を食べた後は、


大人と子どもが分かれて活動をします。大人同士でのコミュニケーションの時間でもあり、子どもにとっては自分たちの力だけで冒険を楽しむ時間でもあります。


つららを発見し、自分の手で取ってみたり…


温かい飲み物を飲んで、絵本の読み聞かせを楽しんだり、


沢まで下りて、またそこから自分の力で這い上がってきたり、子どもたち自身の可能性を広げる挑戦が、自然の中にはたくさんあります。


冒険の後は、暖かい焚火に当たりながら、マシュマロをあぶって食べるというおやつタイム。一日たっぷり遊び、おわりの会を行って解散しました。

普段の子育ての現場ではなかなか経験できない、チャレンジフルなプログラム。森のようちえんで子どもたち、そして関わる大人たちはどんな学びを得ているのでしょう。美方高原自然の家の田中誉人所長にお話を伺いました。

香美町小代区で生まれ、ご自身も山の中を走り回って育ったという田中所長。ネイチャーゲーム、ツリーイングなど、様々な体験型環境教育事業を行う傍ら、野外での指導技術、リスクマネジメント等「森のようちえん」に関わる指導者養成にも尽力されています。

「3-4才のうちから自然の中で遊ぶことで、自分の体を認識し、空間を認識する力が育ちます。親から離れ、子どもたちだけで森の中に入った時、子ども本来が持つ人間としての力が発揮されるのです」
年長の子どもが年少の子どもの手をひいて斜面を登る。自然の中の困難な状況に、力を合わせて自分たちの力で挑もうとする。身近にある自然や季節との付き合い方を肌で感じて学ぶ。室内中心の環境では学びきれない、自立や共生を促す土台となる学びが、確実に培われていきます。


また、基本的な体作りには、山の斜面での活動が大きく寄与します。
「建物や道路などは基本的に平面で、足の前面の筋肉が育ちにくい環境です。初めて森のようちえんの活動に参加する子どもたちは、山の斜面を登るのに大変苦労します。ですが、経験を重ねることで、斜面を満面の笑みで、全速力で駆け下りてくるようになります。様々なスポーツの技術は後からでも身に着けられますが、3-4歳のうちにその元となる素養を身に着けることで、基礎に裏打ちされた運動能力を育てることもできます」


みかたの森のようちえんのプログラムでは、子どもたちが自分の手足を使って斜面を登ったり、バランスを取って穴の中を覗いたり、火を使ったりと多くのチャレンジがあります。安全面はどのように考えられているのでしょうか。

「大切なのは『見守ること』です。見守れば、子どもの限界が見えてきます。子どもたちはトライをしながら自信をつけていきますが、度を超すと危険になるので、見極めがとても重要です。例えば蜂の巣がある場合、あらかじめ取り除くのではなく、『あそこに蜂の巣があるね、どうしたらいいかな』と、子どもと共に考える機会を作ります。そのため運営者側には、何が起きうるかという想定とシミュレーションを前もって行っておき、危険なものを見抜く力、場を守る力が重要になります。」
チャレンジをしながら小さなけがをすること、服が汚れてしまうこと等についても、保護者と指導者という大人同士の共通理解が重要です。枠を広げながら、小さな痛みを感じることで、子ども自身の危険への認識も高まります。非日常の空間の中で、今までできなかった新たな挑戦に触れる子どもたちに、保護者からも「この子にこんな力があったんだ」と嬉しい発見の声が聞かれるそうです。


2018年度からは、活動頻度を月2回に増やし、拠点を都市部からのアクセスのがよい小代区の中心部に移転。「みかたの森のようちえん」は、宿泊施設の裏山を拠点とした、宿泊型のイベントとして新しいスタートを切ります。より参加しやすく、子どもたちの生活リズムに合わせた活動になりますので、ご興味のある方は下記までお問い合わせください。

とちのき村
〒667-1532
兵庫県美方郡香美町小代区新屋1432-35
公益財団法人日本アウトワード・バウンド協会
尼崎市立美方高原自然の家
電話:0796-97-3600
http://www.obs-mikata.org/

白熱!『ハチ北スキーフェスティバル』感謝の想い

白熱!『ハチ北スキーフェスティバル』感謝の想い

2018年3月3日~4日、香美町村岡区大笹の「ハチ北高原スキー場」にて「ハチ北スキーフェスティバル」が開催されました。4日に開催された「雪玉積選手権大会」は、今年で開催12年目を迎え、昨年のリベンジを果たしに県内外から来たリピーターや、周辺宿泊客を中心に大盛況でした。

(ハチ北高原スキー場の様子)

雪玉積選手権は、雪合戦で作るようなソフトボール大の雪玉を、制限時間内(5分)にどんどん積み上げ、高さを競うというシンプルなルールで行われます。簡単に聞こえるかもしれませんが、実に奥が深く、高く積み上げるには技術や作戦が必要です。

それぞれのチームの自己PRを紹介後、決められた板の位置につき、開始の合図とともに雪玉積みが始まります。

高く積み上げるには、土台をきっちりと作ることが大切ですが、土台に時間をかけすぎると、高さにかける時間がなくなってしまうので、上手に時間の分配をするのがそれぞれの腕の見せ所。また、制限時間内であれば崩れても何度も積みなおすことができます。


限られた時間の中で周りのチームより少しでも高く積むための真剣勝負が繰り広げられます。後半戦になり残り時間が少なくなると、

一つでも二つでもたくさんの雪玉を積み上げたいところ。また、積みあがった雪玉が崩れないように細心の注意を払います。どのチームが勝つのか、最後の最後まで判断が付きません。制限時間終了後は、ハチ北高原スキー場のPR等を行うご当地アイドル「ハチ北Girls」
による計測タイムです。

中には、計測直前に雪玉が崩れてしまった惜しいチームもあり、またハチ北Girlsの計測結果が発表されるたびに、参加者は一喜一憂。僅差で勝利できなかったチームからは「悔しい~!!」の叫び声も聞かれました。
1位から3位までに入れば、香美町の特産品が贈呈されます。地元の棚田米「とろかわの恋」、但馬牛肉、松葉ガニなど味も品質も間違いない商品獲得を目指し、大変白熱した雪玉積選手権でした。

大人から子供まで楽しく参加できる、この雪玉積選手権を企画・運営するのは地元若手有志による「ハチ北スキーフェスティバル実行委員会」の方々。20代から40代の15名のメンバーが「少しでも地元をよくしたい」という思いで取り組んでいます。

実行委員会の方が思う、村岡区・ハチ北の魅力ってどんなところでしょうか。ハチ北スキーフェスティバル実行委員会会長の西山正美さんにお話を伺いました。
「スキー場もあり、たくさん遊べる場所だということです。子どものころから、学校から帰ってきたらよく滑りに行ってました。10代で一度都会に出る仲間も多いのですが、ほとんどが帰郷しています。やっぱり、ハチ北が好きという思いがあるからではないかな」
地域の人が仲良く話し合える関係があり、スキーフェスティバルの企画も全員で話し合いながら決めます。メンバーの中から「こんなのやってみたい!」とアイディアが出てきたら、それもみんなで積極的に検討。市町村合併により香美町となった2005年からは、商品に香住のカニを提供するなど、他の地域ともつながりながら企画を練っています。

このような楽しい企画をするのにはもちろん、地元をよくしたい、そして地元のPRをしたいという思いもありますが、それより強い思いがあります。
「ハチ北に泊まりに来て下さっているお客さま、今まで何度もハチ北に来て下さってるお客さまに、来てくれてありがとう、という気持ちを込めてみんなが楽しめる企画を行っています」
また、春や夏には「アクティブクラブ」として、このフィールドで楽しめるアクティビティを企画するなど、シーズンオフにも多くの人にハチ北を楽しんでもらえるよう、創意工夫も重ねています。

雪玉積選手権で惜しくも敗れてしまったチームや希望者の雪玉は集められ、ハチ北高原スキー場に大きな「白い巨塔」が作られます。これも毎年、昨年度より高いものを目指して作られ、全員で一つのものをつくる達成感や、「また、ハチ北に来たい」という気持ちを高めるものにもなります。感謝の気持ちを込め、地元の人も、外から来てくれた人ももっとハチ北を好きになれるように、実行委員の方たちは結束を固めて力を尽くします。

ハチ北高原スキー場(ハチ北観光協会)
所在地:〒667-1344 兵庫県美方郡香美町村岡区大笹
電話:0796-96-0732
http://www.hachikita.jp/

香美の子育てをもっと楽しむ子育てサークル

香美の子育てをもっと楽しむ子育てサークル

香美町への移住を考えている若年層の方にとって、気になるのが子育て環境。

こちらの「育てる」のページで香美町での子育て全般についてご紹介し、また小学生の学習環境については、村岡小学校の校長先生のインタビューでも取り上げました。

今回は、主に就学・就園前のお子さんたちと保護者の方々が利用するスペース「子育て・子育ち支援センター」の活動をご紹介します。

「子育て・子育ち支援センター」とは

香美町の子育て・子育ち支援センターは、香住区、村岡区、小代区にそれぞれ1つずつあります。保護者やお子さん同士がともに交流し、子育てについて考えるための施設で、地域で安心して子育てできるよう、子育て講座や子育て相談、子育てサークルの育成支援を行っています。

高井子育て・子育ち支援センター外観

この日は、村岡区耀山にある「高井子育て・子育ち支援センター」での子育てサークル「ラッコの会」の活動日でした。

高井子育て・子育ち支援センターを拠点とした子育てサークルは3つあります。季節のおやつや手作り料理を作る「スイーツの会」、ヨガで健康づくりをする「キララの会」、お母さんと子どもの健康や安全について学ぶ「ラッコの会」です。

その他サークル活動のない日でも、平日の9時から17時は遊戯室、園庭、情報コーナー、絵本コーナーを開放しているので、親子で自由に利用ができます。香住区・村岡区・小代区すべての子育て・子育ち支援センターが合同で、大人数での遠足やイベントを楽しむ機会もあります。

広々とした遊戯室では多彩な活動ができます

出産前の女性でもサークル活動等に参加可能で、出産前から同年代の友人とつながることで出産後も安心して子育てすることができます。

子育てに役立つ情報を学ぶ「ラッコの会」の活動

子育てサークル「ラッコの会」は、親子の体調管理や避難訓練など、子どもの安全や健康に関する学習会を中心に月に一回活動。この日は、豊岡カイロプラクティック整体院 十風堂から整体師の義本学さんをお招きしての骨盤体操教室が行われていました。

豊岡カイロプラクティック整体院 十風堂 整体師 義本学さん

「子育て中のお母さん方は、どうしても自分のことが後回しになりがち。出産後、骨盤のケアができないまま、家事や育児で体に無理をかけてしまうことが多いので、自分の体を振り返る時間にしてもらえたら。」香美町の育児サークルに出張するようになって3年目だそうです。

講座の中では実際に体を動かして変化を感じたり、忙しい毎日の中でも実践できる骨盤ケアや、体の話を聴いたり、普段の生活でなかなか使わない体の部分を使ったりすることで、お母さん方がそれぞれ自分の体の状態に向き合います。

終始リラックスした和やかなムードの中で、笑顔がこぼれる場面もいくつもありました。

傍らで、慣れた環境の中リラックスして遊ぶ子どもたち。最後は義本さんから一人一人の体の状態を見てもらい、ゆったりした時間を楽しみました。

 

 

香美町での子育てを楽しむ参加者の方たち

参加していたお母さん方は、香美町で生まれ育った方も、結婚等を機に香美町に移住してきた方もいます。子育て中に同年代で気軽に話し合える場として子育て・子育ち支援センターを積極的に利用しています。サークルの活動日でない日も誘い合って利用することがあります。

ラッコの会代表の 西谷南美さん、家前祐子さん

子育て・子育ち支援センター以外では、各地にある公園や「木の殿堂」等のスポットに遊びに出かけることも。子育て中の親子が出かけるのにオススメのスポットをまとめた「子育てマップ」の掲示もありました。

海も山も、冬季は雪山も近くにあるので、アウトドアレジャーが気軽に楽しめ、町内でもイベントが活発に行われているので、休日も近場で楽しく過ごすことができます。

町外から来られたお母さん方は口をそろえて、「香美町の人は優しい」と言います。

「近所を歩いていたらおばあちゃんたちが声をかけてくれます。自分だけでなく、地域の皆さんで子どもを見守ってもらっている感じがして心強いです」

「同居している夫の両親が田んぼ・畑をしていて、そこの傍らで子どもが遊ぶんですけど、それだけで喜んでくれます。畑でトンボを捕まえて、それを図書館で借りた図鑑で調べてトンボについて詳しくなるなど、子どもの興味を広げられる環境です」

「一番いいのは水が美味しいこと。都会に住んでいた時は、浄水器がないと何も食べられなくて、肌荒れもしていました。時々都会に遊びに行きますが、あまり恋しいとは思わなくなりました」

などなど、自然豊かな香美町での子育てや毎日の暮らしに、満足している様子。ですが、

「同年代の子どもたちが、もっとたくさんいてくれたらうれしいなって思います。子連れで移住してくる人大募集、同級生大募集です!」

ということで、子育てを通して交流できる仲間が増えることを願っています。


香美町 子育て・子育ち支援センター

  • 香住子育て・子育ち支援センター

香住区森31-1香住地域福祉センター内 0796-39-1507

  • 高井子育て・子育ち支援センター

村岡区耀山7-2 0796-94-0402

  • 小代子育て・子育ち支援センター

小代区忠宮287小代高齢者生活支援センター「いこいの里」内 0796-97-3377


 

香美町PR動画を公開しています!

日本海から山間部までの多様な環境を持つ香美町の魅力を感じていただける動画を公開しています。
雄大な自然とそこに暮らす人々の日常や、香美町でチャレンジする人たちの思いをつづったストーリーとなっています。
 

ぜひ一度動画をご覧いただき、香美町に住む人や自然の魅力を感じてください。

 

素朴だけれど豊かに生きる子どもたち、ひたむきに働く大人、チャレンジする移住者。

それぞれの暮らしの中でチャレンジを楽しみ、自分だけの旗を立てる人を香美町は応援しています。

 

 

香美でのチャレンジをバックアップできる存在に

香美でのチャレンジをバックアップできる存在に

 

2015年に立ち上げられたNPO法人TUKULU。地域の中でチャレンジが芽生えるとき、頼れる、話せる兄貴分がここにいる。理事長の松岡大悟さん。本業の傍ら取り組む「まちづくり」で、彼が大切にしていることは、さりげなく、それでも地に足の着いた着実な取り組みだった。

 

面白みのない日々が、ワクワクで一杯になった理由

 地域の「困った」に耳を傾けて拾い上げ、その課題解決のために動くNPO法人TUKULU。理事長の松岡大悟さんは、本業である塗装業に精を出す傍らで、まちづくりのために動く時間を惜しまない。日々の活動に「ワクワクがたくさんある」と語るものの、始めから楽しめたわけではないという。

 香美町香住区の塗装屋さんの長男として生まれた松岡さん。一度は進学を機に故郷を離れ、鳥取県の米子で寮生活を送る。初めての都会の生活はめまぐるしく、とても充実していた。それでも卒業後、「何となく家業を継ぐのかな」とすぐに帰郷。今と同じ塗装業に勤しむも、「30代までは、与えられた仕事を粛々とこなすだけ。決して楽しいわけではありませんでした」と語った。

 転機は商工会の青年部に入り、まちづくりに関わってまちの課題を肌で感じたこと。40代で青年部を卒業すると、「まちづくりは卒業、本業に専念して」と言われる。そこに松岡さんは疑問を感じたという。

「うちはまちの中にあるペンキ屋なのに、まちづくりをせず商売だけやるというわけにいかない。卒業したら町や地域と関われなくなる。じゃあ、何か任意じゃない団体を立ち上げてみるのはどうか、と」

NPO法人TUKULUのメンバー

 

 仲間に賛同者が現れ、2015年11月にNPO法人TUKULU立ち上げ。翌年には移住定住相談窓口の業務委託を受けるようになった。まちづくりに主体的に関わるようになったことで、日々はどんどん輝きを増していく。

 

仕事と両立する「まちづくり」の形

 移住相談窓口の業務を請け負うことになったとはいえ、「とにかく数多く移住者を呼びたい」とは考えていない。

「まずは、香美町と、香美町の人と関わってもらうことを大事にしたい」

 現在松岡さんは町外や県外の各地で空き家を利用したワークショップに、塗装ワークショップの担当として呼ばれることが増えている。

「ワークショップの中で『どこから来られたんですか』って聞かれて、『香美町、いいとこなんだよ』って自然に話せる。すると向こうも『行ってみたい』ってなる。本質的な移住の業務とは言えないかもしれないけれど、こういうやり取りが大切だと感じていて」

 香美町のことを紹介するときに、「まだ何も始まってないまち」と表現することがあるという。そしてそれこそが、香美町の魅力であると松岡さんは考える。

「行政でも民間でも、ぐいぐいと引っ張っていく人がいない。だからこそ今やりたいと思っていることが、何でもできる。行政は、ぐいぐい引っ張らないけれど、とても理解があって、その関係性がいい」

 何も始まっていないまち。そこで事を起こすのはハードル高く感じるかもしれないけれど、実はやりやすいフィールドでもある。

「僕たちは香美町で新しいものを創り出してくれる人を、中間支援できるようなNPOにもなりたい。40代、僕たちの年代がまちづくりの要になると感じてるので」

 帰郷して20年、今の自分だからこそできる役割がある。地域で長く生きてきた上の世代と、新しくチャレンジしたいと志を持つ若い世代をつなぐ、支援する世代として松岡さんのような「兄貴分」の存在は大きな意義を持つ。

TUKULUがある松岡塗装店の事務所二階。

チャレンジする若者と地域をつなぐために、大切なこと

 学生時代に住んだ「身近な都会」である鳥取には、今でも良く足を運ぶ。鳥取で松岡さんは、一度は寂れた駅前のまちが再始動する様子を、そしてそれを動かしているのが若者と40代の世代であることを目の当たりにする。そのことが、「中間支援する存在に」というTUKULUの柱の一つにつながっている。

 ワークショップを通して町内の中学校、高校に出向いたり、香美町出身の大学生たちと関わったり、「つなぐ」存在としての活動にも勤しむ松岡さん。

「家業を継ぐ場合も、家業を自分の代で新しくもできるし、家業を継がなくても、新しい仕事を始めて、商売を継がなくても地域を継いでもらえたらいい。そして何か始めたい、と思っている人はTUKULUに来てほしい」

 その中でぶれずに大切にしているものは、「様々な活動をしていても、地元の小さな集まりには必ず顔を出す」ということ。

「まちづくりには広い目線も必要だけど、目の前のことを大切にすることの重点は大きい。一番小さい単位を大事にすることが必ずまちづくりにつながる。逆に、自分の目の前にある地区が崩れてしまったら、まちづくりは難しくなってしまう。自分が住んでいるまちに関わるということって普通のようで、実は関わる努力をしないと関われない。そこを意識するようにいつも気をつけています」

 目線は広く、町全体や町外にも足を伸ばしながらも、目の前のことを大切に取り組んでいく。ぶれない姿勢が地に足の着いたまちづくりへとつながっていく。

 

「香美町で挑戦したい人を、中間支援できるような存在になりたい」

何かを始めたいと感じている人は「TUKULUに来てほしい」と語る松岡さん。地域で育ち、自分の地区を大切にすることからぶれずに、まちづくりに向き合ってきたからこそできるサポートがある。あなたの挑戦を支えてくれる兄貴分が、ここにはいる。

地元の人の応援を受け、香住の魚の魅力を発信

地元の人の応援を受け、香住の魚の魅力を発信

香美町の住人が口をそろえて誇る、「海の恵み」。新鮮さとその品質が、食通の間で「トップクラス」ともささやかれる香住の海産物。海を間近に、魚とともに育った男性が、海の恵みと人とをつなげる仕事を選んだ。香住駅近くに位置する「魚や はらとく」は、現在香美町では珍しくなった個人店での海産物卸売問屋。2016年にオープンしたこの店に、店主の原田敦行さんがかける想いとは。

 

新天地に「駅前」を選んだ理由

 シックな色合いにシャープな造り、一見カフェを思わせる建物が香住駅徒歩0分と言える間近な場所に出現した。一歩足を踏み入れると、新鮮な海産物や水産加工品が立ち並ぶ、魚屋さんだった。

「実際、カフェと間違えて入ってこられる方もいらっしゃいます」と、原田さんは笑顔を見せる。

豊富に並べられた海産物コーナーの奥には、イートインスペースもあり、観光や仕事で香美町に来た帰りに立ち寄ったという人、また顔をよく知る地元の人たちも、ホッと一息ついていくことが多いという。

 

「僕自身、生まれも育ちも香住です。高校時代に3か月ほど、魚屋としての勉強をしに行った以外はずっとここで暮らしてきました」

 水産加工を営む家に生まれ、魚と暮らし、魚と営む風景は原田さんにとって見慣れたもの。魚に関わる仕事をすることは原田さん自身の夢でもあったという。高校卒業後は海産物店に20年余り勤め、2016年に独立、「魚や はらとく」をオープンさせた。

 

「夫婦だけでお店を構えるため、資金面は大きな壁でした。そこで香美町役場に相談を持ちかけた所、県の補助金の対象になることを知りました。この建物を建てるときはそれに助けられました」

 外観もさることながら、お店の内部も水槽の位置と店内とに段差がついていることで、清潔感を保てるつくりになっている。

「魚や はらとく」があるのは香住駅前だが、この周辺にはお店がほとんどない。インパクトのある外観のお店を構えることで、「ここをきっかけに、新しいお店が増えていったら」と、駅前を選んだのには、そんな理由もある。

「お客様が電車を降りて最初に見る風景。そして、最後に何か買っていこうかなと考えて下さる場所。駅の中の販売店も、駅前の小売店も次々なくなり、使いにくい駅や駅前になるのがずっと気になっていたんです」

 原田さんの独立には、ただ個人の夢を叶えたいという想いだけでなく、「地元を元気にしたい」という切なる願いがあった。

 

思い立ったら行動! 地元を元気にするために

 香美町をもっと活発に……。原田さんがその想いを持って動いたのは、これが初めてのことではない。2011年に友人とともにフリーペーパーを立ち上げ、2014年まで年4回継続的に発行。原田さんは香美町内の見どころを自ら情報発信すべく、編集作業に打ち込んだ。

「近隣の市のフリーペーパーは町内で見かけるのですが、香美町の情報がのったものがない。じゃあ作ったら、っていうところからスタートしました」

 

住んでいる人たちが身近な地元の魅力に気づき、それを発信するために自ら動く。まちに元気がなくなってしまったからといって、「ダメだ」と言っているだけでは何も始まらない。何かできることはないか考え、思いついたら実行に移す。その行動力がフリーペーパーとして表れた。

 

 

 また香美町には魚食の普及を図ることを目的とした通称「香美町とと条例」が制定されていて、推進活動を行う団体「香美町とと活隊」には原田さんも所属。魚食普及推進ののぼり設置、イベントの企画開催等多彩な活動を行い、海産物関係の多くの業種の方々が手を取り合っている。

 

「活動が周りに知られてくると、料理教室を開いてほしいなど、オファーも増えました。とと活隊に援助したいという人たちも出て来られたり等、周りの人たちのお蔭で活動できています」

 地域を元気にしたいと動く若い力を、地域の人たちは全力で応援する。それは「魚や はらとく」オープンに関しても同じで、「近くに魚屋ができてありがたい」と毎朝買いに来る地域の方々に支えられているという。

「地域の中でなくなってしまったもの、寂しくなってしまったものがまた復活する、そういうところへの応援を強く感じます」

オープンしてうれしかったのは、観光客の方はもちろん、やはり地元の方、近所の方が顔を見せに来てくれたことだった、と原田さんは振り返っている。

 

 

人とともに、海の豊かな資源を発信したい

 生まれも育ちも香美町だったという原田さんだが、新しく地域に入りたいという人は、どうすれば人とつながれるのだろう。

「とと活隊のような有志の団体が各地、各分野にあるので、その団体に所属したら早いですね。とと活隊は会議や交流が多く、活動を通して人の繋がりが広がりますよ」

 そしてまた、外からの新しい風が吹くことも原田さんたちは望んでいるという。

「香美町には、海産物を始め大きな魅力がいっぱいある。でも、それをPRする力は弱いので、どんどん発信してくれるような人が香美町に来てくれたらうれしいですね」

 特に原田さんが関わり続けている海産物に関しては、毎回その豊かさに感動するという。

「高級な松葉ガニが有名なのですが、それ以外のお手軽な海産物も驚くほど品質が高いんです。普段づかいでこれだけの豊かな産物が食べられるという贅沢さ。どこに旅行に行っても食べ物では負けないなと思えるくらい、誇りにしています」

 今後は駅前のイベントスペース等でどんどんその海産物の魅力を発信できたらと語る原田さん。地域を愛し、地元のために一旗揚げた彼の挑戦はまだ始まったばかりだ。

 

「行動することで、地域の人が応援してくれた」

大好きなふるさとを元気にしていくため、人とつながり、人とともに行動を起こす。若い力のエネルギーは、地元の人からの温かい応援を受け、加速度をつける。そこにある素晴らしいものを活かすため、「はじめの一歩」を踏み出そう。

≪追記 魚屋はらとくさん、ランチ始めました≫

取材時にはなかったランチ営業が始まりました。

写真はお刺身定食です。

香住駅前、手軽に食べられる最高品質の海の幸をお楽しみください。

(11月、12月は繁忙期の為ランチ営業休・1月再開)

子どもたちが存在意義を感じられる教育環境を!

子どもたちが存在意義を感じられる教育環境を!

村岡小学校校長 石井先生

 町内の山にある木材をふんだんに使って建てられた通称「木の学校」と呼ばれる、香美町立村岡小学校。木の香り高いランチルームで、一堂に会して食べる学校給食。2017年度の児童数は88人という小規模校で、統廃合の危機と向き合いながら行われるきめ細やかな指導ぶりに、全国から取材や視察が集まる。香美町だから、村岡小学校だからこそできる教育とは何か。学校長の石井一彦先生にお話を伺った。

小規模校だからこそできること

 石井先生は香美町のご出身。進学を機に香美町を離れ、都市部、近隣市町で教鞭をとった後、ふるさと香美町で教育に向き合う日々を送る。都市部の学校と違い、村岡小学校のような小規模校でできる教育にはどのような特徴があるのか。
「都市部の教育環境としては、多くの人たちの中で切磋琢磨しながら成長していけるという良さがあります。対して田舎の学校は、全員が子どもの顔を知っている。子ども一人あたりの教師の数が多いので、個別の課題に合わせたきめ細かい指導ができます」

授業の様子

 教師も児童も顔を知っているふれあいの多い環境の中、教育課題はあるのだろうか。

「もちろん、人間関係が固定化されてしまい、コミュニケーション能力が育ちにくいという課題があります。それを解消するために、『香美町学校間スーパー連携チャレンジプラン』という取り組みをしています。香美町内の学校間を連携させて、多人数での授業を定期的に行っています。回数を重ねるごとに『学校対抗』のような形で競争心が生まれたり、コミュニケーションをとって仲良くなり友達が増えたりと、子どもたちの新たな成長ぶりを感じられますね」  

 この事業で効果を得られるのは子どもたちだけではない。教員たちも、それぞれの学年の様子について話し合い、学び合うことにより、資質が向上する。このような先進的な取り組みを積極的に取り入れるのには、教育に携わる大人たちの、地域を愛する強い想いがある。

「児童数が減っていくと、統廃合という話が出がちですが、地域の子どもは地域で育つということを大切にしたい。そのために私たちができることは、地域の人が『残したい』と言ってくれるような教育を提供していくこと。私たちにとって、とてもやりがいがある状況です」

 

 

 

子どもが地域を愛し、地域で育っていくための取り組みは、主に過疎地域からの視察の対象になっているという。異年齢でもともにスポーツを楽しむなど、幅広く学び合い、成長する子どもたち。そのたくましい成長を支えるものが、香美町にはある。

 

村岡小学校には幼稚園も併設
地域の農産物を使って様々な体験が行われている。この日は幼稚園児たちがエンドウ豆の皮むきに挑戦

 

自発的に、「地区の一員」として育つ子どもたち

「一学年当たりの人数が少ないと、フットワークが軽くなります。近所の面白いもの、珍しい生き物など、気軽に校外学習・体験学習で見に行くことができます」

 生活が便利になるにつれ、子どもたちにとっては危険となってしまう環境も増え、子どもが「体験する」ことに対するハードルが上がってしまった昨今、香美町の学校ではそのハードルをやすやすと飛び越えることのできる規模感がある。そして人とのつながりを強く感じられる環境が子どもを高める。

「自然学校等で町外に出ると、町内の学校の子どもたちがそろって挨拶の良さをほめられるなど、香美町の子どもたちは、基本的な生活態度が良く育っていると感じます」

 そんな香美町の子どもたちと過ごす日々は、石井先生にとって「感動の連続」だという。

「以前の運動会は、小学校の運動会というより地区の運動会としての色が濃かったのですが、子どもの発言を受け、子どもが主役の運動会に変えようと職員会議で話し合いました。『子どもたちが自分たちで作る、子どもたちが拍手をもらえるような運動会を作りたい』と、地域の方に理解をしていただきました。そうしたら、子どもたちが本当に自発的に動くんです。準備や片づけなど、種目以外の大変なところも率先してするようになりました。組体操などの難しい技にも諦めずに自発的に挑戦し続けて、努力の結果、本番でうまくいくと本当に感動していました。もちろん私も感動しました。午後から地区の運動会が始まると、子どもたちが自分の地区の人たちを本気で最後まで応援します。自分たちが地区の一員だという思いがあるのだと、その姿にまた感動して、本当に幸せな気分になります」  石井先生は「地域の一員としての存在意義」こそが、香美町で育つ子どもたちにとっての大きな力になると考える。

そこにいるだけで喜ばれるまち 香美町

 自分が誰かの役に立っている。自分の存在が誰かに喜ばれている。石井先生が考える「香美町ならではの存在意義」とは。

「現在、キャリア教育ということが盛んに言われています。それは、自分が何のために生きているのかということが、自分の中で、すとんと腑に落ちていない若者が多いからだと考えます。いい学校に入っていい会社に入る事が素晴らしいと言われていた図式が崩れてきている中、『自分がどんな人生を歩みたいのか』それがわかる子を育てることがキャリア教育です。その意味で、香美町という環境はとても魅力的です。子どもが、若者が、いるだけで地域の人は喜んでくれるんです。香美町は自分の人生の目標・生き甲斐が分かりやすい町なのです。自分の存在意義が常に感じられる町なのです」

 地域への愛はあっても、就職の段階で就職先が見つからず離れてしまうケースは多い。その中で諦めずに好きな地域で住みたいと言える子どもを育てたいと願う。 「どんなに失敗してもあきらめないたくましい子、反対されても、その反対意見を練りあって新しいものを生み出していく子。それが今の学校教育目標にもつながっています。どの子も居場所があって、認められて、その上で地域が好きという骨太な気持ちがあって、くじけずにここで暮らしていく……地域の元気の源に、村岡小学校はなりたいのです」

 自分がどんな人間で、どんな人生を送りたいのか。その上で地域貢献ができるということが一人一人の人生をより豊かにする。そのことを教育を通して子どもたちに伝えたい。石井先生の想いが「木の学校」で実を結んでいく。

ランチルーム。ここで全学年の生徒たちが給食を共にする

「どの子も居場所があって、認められて、その上で地域が好きな子どもを」

地域の中で一人一人を大切に育てられる子どもたち。だからこそ地域の一員としての自覚を持ち、地域の中での自分の存在意義を見出すようになる。個人的な進歩だけでなく、所属する場所の中で貢献していくことの豊かさを、広く考えられる子どもに育つ。その環境が、香美町にはそろっている。